「目にいい食べ物は?」と聞けば、ブルーベリーを思い浮かべる人は多いでしょう。しかし老眼対策の専門家・伊勢屋貴史さんは、「ブルーベリーが特別に目にいいという科学的根拠は乏しい」と言います。では、100歳まで見え方を守るために意識したい食べ物は何なのか。キーワードはDHA、ルテイン、ゼアキサンチンです。

「ブルーベリーは目にいい」はほぼ都市伝説? 眼科医が本当に食べてほしいものPhoto: Adobe Stock

「老眼を防ぐ食べ物」はありません

――老眼対策の専門家に、どうしても聞きたいことがあります。老眼を予防できる食べ物ってありますか。

 伊勢屋貴史(以下、伊勢屋) 残念ですが、老眼そのものを食べ物で予防することはできません。

――いきなり夢のない回答ですね。

 伊勢屋 すみません(笑)。老眼の原因は、年齢とともに水晶体が硬くなることです。今の医学でもその硬化自体を防ぐことはできません。

 ただし、「見え方」を左右するのは水晶体だけではありません。

 そこで食事が重要になってきます。

視細胞にはDHAが非常に多い

 伊勢屋 注目してほしいのが、眼球の奥にある網膜です。

 網膜には、目に入った光を電気信号に変える「視細胞」があります。この視細胞にはDHAが非常に多く含まれています。

――DHAって、「頭にいい」と言われている、青魚のDHAですか。

 伊勢屋 そうです。

 DHAというと記憶力や血液のイメージが強いかもしれませんが、眼科医としては目との関係にも注目してほしいですね。

 食べるなら、サバ、イワシ、サンマ、アジなどの青魚が代表的です。

 DHAは加熱によって減りますから、刺身で食べたり、煮汁ごと食べられるサバ缶などを使ったりするのもいいと思います。

サンマ100グラム分を鶏肉で取ろうとすると「24キロ」

――青魚が苦手な人はどうしましょう。

 伊勢屋 そこが難しいところです。

 たとえばサンマ100グラムに含まれるDHAと同程度をほかの食品だけで取ろうとすると、原稿で挙げた試算では、豚肉なら約14キロ、鶏肉なら約24キロ、卵なら50個ほどになります。

――鶏肉24キロ……ライオンでもないと無理ですね。

 伊勢屋 (笑)。だから青魚は効率がいいんです。

なぜ「黄斑」は黄色いのか

――DHA以外では何がありますか。

 伊勢屋 ルテインとゼアキサンチンです。

 網膜の中央に、ものを見るうえで特に大切な「黄斑」という場所があります。

――「黄斑」って、なぜ黄色なんですか。

 伊勢屋 そのままです。黄色っぽく見えるからです(笑)。

――ひねりなし。

 伊勢屋 まぁ、ひねる必要もなかったでしょうからね。

 その黄色のもとになっているのが、ルテインやゼアキサンチンです。

 ルテインは、小松菜、ケール、モロヘイヤ、チンゲンサイなど濃い緑色の野菜に多い。ゼアキサンチンは、トウモロコシ、カボチャ、卵黄などに含まれています。

では、ブルーベリーは?

――でも、目にいい食べ物といえばブルーベリーじゃないんですか。

 伊勢屋 ブルーベリーが特別に目にいいというイメージはかなり強いですが、科学的な根拠は限定的です。

 ルテインも含まれていますが、量は多くありません。

――えっ。昨日ブルーベリージャムを買ったのに……。

 伊勢屋 まぁまぁ(笑)。

「ブルーベリーを食べれば目がよくなる」というイメージには、第2次世界大戦中の英国空軍にまつわる逸話が元になったとも言われています。

 ブルーベリーを食べること自体が悪いわけではありません。

 ただ、

「目のために何を食べるか」

 と考えるなら、ブルーベリーだけを特別扱いするより、青魚や色の濃い野菜など、網膜に必要な栄養素を幅広く取る。

 そちらを私はおすすめしたいですね。