最悪の状況で訪れた「人生の転機」

しかし、人生というものは数奇なものです。安吾がもっとも情けない状況で檻の中にいたまさにそのとき、運命を変える知らせが届きます。

その檻のなかにいたときに長男が生まれたことを知った安吾は、いったいどんな気持ちだったのでしょうか。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より

自身の愚かな振る舞いを猛省したのか、あるいは新しい命の誕生に涙したのか。ビジネスにおいても、取り返しのつかない失敗をした最中に、思いがけない転機が訪れることがあります。

重要なのは、その出来事をどう受け止めるかです。

人を根本から変える「守るべき存在」の力

この長男の誕生は、ただのライフイベントにとどまらず、安吾の心身を劇的に変えることになります。

しかし、この長男誕生という出来事は、安吾にとって“人生の光”となってくれました。息子に愛着を覚えるに従って、だんだんと依存症による錯乱状態や発作も治っていったのです。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より

どれだけ医者にかかっても、自分の意志で治そうとしても難しかった依存症が、「息子への愛着」によって快方に向かったのです。

ここから私たちが学べるのは、「自分のため」よりも「誰かのため」という目的のほうが、人を強く動かす原動力になるという事実です。仕事で行き詰まったときや、モチベーションを見失ったときは、ベクトルを「自分」から「他者」へ向けてみましょう。

家族を守るため、チームの仲間のため、あるいは顧客のため。自分以外の「守るべき存在」「果たすべき役割」を再認識することで、困難を乗り越える強いエネルギーが湧いてくるはずです。