「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
「夢想家で終わる人と思想家になる人の決定的な違い」とは? ライター照宮氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

夢想家で終わる人の残念な特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「いつか変わる」と言い続けた知人の話

私の知人に、会社勤めだけはどうしてもしたくないという人がいた。
若い頃何度か会社に勤めたが、体を壊してしまったという。だから自分にはそういう生き方は向いていない、もっと自由に自分らしく働けるものがあるはずだと話していた。

では、何か新しく始めるのかというと、「今はお金がないから」と言って動く気配はない。
そして、「チャンスが来ればきっと変わる。自分はこんなところで終わらない」と言い続けていた。その言葉を聞くうちに、気づけばもう何年も過ぎていた。

夢と目標のあいだに何がある?

判断を先送りしないことで結果を出し続ける木下勝寿氏は、著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。

思想家と夢想家の違いは、最上位目的は同じでも、目前の目的や手段からそこに至る途中の目的や手段が見えているかどうかの差です。
達成できる、できないが明確にわかり、そのための手段が見えている目的を「目標」と言い、見えていない場合を「願望」と言います。

――『地頭スイッチ』より

知人の気持ちは本物だったと思う。でも、それは「目標」ではなく「願望」だった。
チャンスや運を待つのは、手段を自分で考えることを手放した状態だ。だからチャンスが来ても、理由をつけて何もしないのでは? とすら思ってしまう。

お金がないから動けないというのも、手段が見えていないから出てくる言葉だ。
本当に手段が見えていれば、お金がないこと自体が解決すべき最初の課題になる。

「いつか」を「今」に変える

夢や理想を持つことは、何も悪くない。
ただ、それが願望のままである限り、何年経っても同じ言葉を繰り返すことになる。
願望を目標に変えるのは、強い意志ではなく、途中の目的と手段を自分の頭で考え始めることだ。
本書を読み、自分の「いつか」が願望止まりになっていないかを見直そうと思った。