ヒロポンで4日間徹夜し、眠れなくなれば大量の睡眠薬で強制終了――。文豪・坂口安吾の壮絶な「マッチポンプ型」の執筆スタイルは、カフェインとアルコールで日々戦う現代のビジネスパーソンにとっても、決して他人事ではありません。限界突破の先にある心身の崩壊や、乱れたデスクに現れる心のSOSサインを暴き、安吾の破滅的ループを反面教師に生き抜く「持続可能な働き方の絶対法則」を紐解きます。
イラスト:塩井浩平
新潟生まれ。本名・坂口炳五(へいご)。東洋大学大学部印度哲学倫理学科(現・東洋大学文学部東洋思想文化学科)卒。代表作は『白痴』『堕落論』『桜の森の満開の下』など。坂口家は江戸から続く旧家だったものの、祖父が投機に失敗。衆議院議員の父も残された財産を政治資金に使ってしまうなど、没落の過程で少年時代を過ごす。中学生のころから悟りの境地に至りたいと思い始め、大学ではインド哲学を専攻。昭和5(1930)年、大学卒業後友人たちと同人誌『言葉』を創刊したことを皮切りに、文学者を志す。昭和21(1946)年に発表した『堕落論』は戦後混乱期の社会に衝撃を与えた。意欲的に執筆活動を続けていたが、昭和30(1955)年に脳出血により48歳で急逝。
4日間の徹夜と大量の睡眠薬
文豪・坂口安吾の「破滅的ループ」に学ぶ、持続可能な働き方の絶対法則
圧倒的な熱量で数々の名作を生み出した文豪たちですが、その裏側には現代のビジネスパーソンが絶対に真似してはいけない「極限の働き方」がありました。
『堕落論』などで知られる無頼派の代表格・坂口安吾の壮絶な執筆エピソードから、私たちが陥りがちな「無理な働き方」の末路と、環境を整えることの重要性を紐解きます。
“汚部屋”のなかで「ヒロポン」を常用
4日間徹夜で執筆
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
現代でも、日中は大量のエナジードリンクやコーヒーで無理やり脳を覚醒させ、夜はアルコールなどで無理やり眠りにつく……といった生活を送っている人はいないでしょうか?
こうした「アクセルとブレーキを同時にベタ踏みする」ような働き方は、一時的なパフォーマンスを上げているように見えて、確実に自らの心身の寿命を削っています。
限界突破の先にある「心身の崩壊」
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
当時は合法だったとはいえ、薬物による「前借り」のエネルギーは、最終的に心身の崩壊という大きなツケとなって返ってきました。
ビジネスにおいて「気合と根性の徹夜」で乗り切る手法は、一時的な危機回避にはなっても、長期的には深刻な燃え尽き症候群(バーンアウト)や休職を招く原因となります。
乱れた環境は「心のSOSサイン」
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
「部屋の乱れは心の乱れ」とよく言われますが、安吾の極限状態は、まさにその仕事場である「汚部屋」に表れていました。現代のオフィスやリモートワークにおいても、デスク周りやPCのデスクトップが極端に散らかっている時は、タスクを抱えすぎているか、精神的な余裕を失っているSOSのサインかもしれません。
持続可能な成果を出し続ける一流のプロフェッショナルこそ、心身のペース配分と環境整備を怠らないものです。安吾の壮絶な生き様を反面教師とし、自らの「働くサイクル」と「身の回りの環境」を今一度見直してみてはいかがでしょうか。
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。




