完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

「もう少し」には終わりがない

 終わらせなければいけないタスクがあるのに、「もう少し」「あと少し」と完了できない。

 この言葉が出たら、危険信号です。

 なぜなら、「もう少し」には終わりがないから。

 私は今、自分でデッドラインを設定するようにしています。

 そのひとつが、100点満点を目指すのではなく、「60点でも出す」ということ。

「金曜日までに、60点で出す」と設定し、チャットで「金曜に出します」と書く。その瞬間、期限は「自分との約束」から「社会的な約束」に変わる。ログが残るから、出さなければそれが可視化される。

 この居心地の悪さが、「もう少し」を断ち切る力になります。

 すべてのタスクに「後戻りできないポイント」があります。プレゼン当日は修正できない。納品後は戻せない。

 そのポイントの前に60点を出せれば、修正する時間がある。過ぎてから後悔しても、遅い。

 以前は、「もっと良くできる」を手放すことができませんでした。「もっとデータを足せる」「もっと見やすくできる」「もっと論理を詰められる」。その声が止まらなかった。

 でも今は、こう考える。
「60点に達したか?」「達した」「なら、出す」。

 それ以上は、考えない。フィードバックをもらってから考える。

完了が先、改善は後

 出せないのは、完了と改善をごちゃまぜにしているからかもしれません。

 完了とは、線を引くこと。「ここで一旦出す」という区切りの行為です。

 改善とは、出した後にフィードバックを受けて直すこと。

 完了は「止める」技術で、改善は「動かす」技術。使う筋肉が違います。

 完了には「まだ足りない」という不安を抱えたまま手を離す勇気が要る。改善には、他者の指摘を受け入れて方向を変える柔軟さが要る。

 問題は、完璧主義に引っ張られると、この2つを同時にやろうとしてしまうことです。

 すると「出す前にもう少し良くしよう」が無限に続き、誰にも見せないまま時間だけが過ぎる。

 フィードバックなしに自分の頭の中で直し続けても、方向が合っているかすらわからない。改善ではなく、改善ごっこなんです。

 完了が先。改善は後だ。

 完了して初めて、相手の目が入る。

 相手の目が入って初めて、本当に直すべき箇所がわかる。

 完了は他者と合意して決める。改善はフィードバックをもとに選ぶ。

 この順番を守って60点を積み重ねて改善し続けた人が、気づいたら一番遠くまで到達している。1回目の60点は「問い」で、2回目の60点は「答え」だ。

 正直、私も毎回怖い。送信ボタンの前で手が止まることは、今でもあります。

 でも、同時に思い出す。

 3か月かけて出せなかった企画書。あのとき、1週目で60点を出していれば。

 今ならわかる。出せば指先から、溜まっていた恐怖が抜けていくと。

 出した瞬間から、本当の仕事が始まるのだ。