完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

「山の間で立ちすくむロバ」になるな

 完成の前に手が止まり、いつまでも提出できないとき、何が起きているのか。

 原因のひとつは、自分にとって何が本当に大事かわかっていないということです。

 選択肢を並べても判断基準がない。だから全部調べて、全部比較して、それでも決められない。

 どちらも情報が足りないんじゃなくて、「自分は何を優先するのか」が定まっていないのです。

 等しく魅力的な2つの選択肢の前で動けなくなる。この思考実験は、「ビュリダンのロバ」として知られます。

 2つの干し草の山の真ん中に立ったロバが、どちらを食べるか決められずに餓死する、というジレンマを表したものです。

 馬鹿げた話に聞こえるけど、私は何度もこのロバになりました。

 選択肢が3つ見えた時点で「もうひとつだけ」と4つ、5つと増やしていく。でも結局、最初の3つから選ぶ。残りの調査で判断が覆ったことはほとんどなかった。

「十分良い」を選ぶ

 選択肢の数は判断の質を上げるのではなく、判断を重くしてしまうことが多いのです。

 完璧な選択を求め続けると、永遠に決まりません。「もっと良い選択肢があるかもしれない」という恐怖が、決断を先送りにするから。

 私が楽になったのは、「最善」を探すのをやめて「十分良い」を選ぶようにしてからでした。基準を先に決めて、それを満たす選択肢が見つかったら決める。全選択肢を比較し尽くすことはしない。

 これは妥協ではありません。「十分良い」で決めて動き始めた方が、「最善」を探し続けるより結果的に遠くまで行ける。動いた先で得た情報で、次の判断はもっと精度が上がるからです。

 以前、上司に「何かサービスの改善提案を出して」と言われて、3週間何も書けなかったことがあります。範囲が広すぎて、どこから手をつけていいかわからなかったのです。

 翌月、別の上司に「解約率の高い機能をひとつ選んで、改善案を来週までに」と言われたときは、2日で書けました。制約が増えたのに、手が動いた。

 制約は敵ではなく、手を動かすための足場でした。