完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

「準備が足りない」という不安

「もっと調べてから」「もっと勉強してから」「もっと考えてから」

 そう思っていても、準備が整うときは来ない。

 なぜなら、調べれば調べるほど知らないことが見つかるから。

 勉強するたびに、足りないものが見えてくるから。調べ始めると、知らなかったことが次々と見えてくる。視野が広がるにつれて、見えていなかったリスクが可視化される。

 これが不安を育てます。

「この方向で進む」と言えるかどうか

 では、どれだけ準備をすればいいのか。

 その閾値は「30分」のような固定の数字じゃない。

 判断基準はひとつだけ。「この方向で進む」と言えるかどうか

 言えるなら、準備は十分です。今すぐ準備を止めて動けばいい。

 言えないなら、まだ準備が要る。その場合も「言えないのは情報が足りないからか、決める覚悟が足りないからか」は正直に見分けてほしい。

 私は朝8時から夜中までプレゼン資料のために「参考になりそうな記事」を読み漁っていたことがあります。

 メモにはハイライトが増えるのに、スライドは1枚も進まない。検索欄には「さらに詳しく」「例 追加」といったワードばかりが並んでいた。

 公式ドキュメントを読んでいたわけじゃない。まとめ記事をかき集めて安心しようとしていただけでした。

 タブを閉じて、紙のノートに「今ある材料で仮説を書く」と手書きしたら、ようやく手が動いた。

方向だけ確認してから走れ

 ここで大事なのは、「準備をするな」と言いたいわけじゃないということです。

 公式ドキュメントを、腰を据えて読む。元の情報に当たる。基礎を固める。この種の準備は、いくら時間をかけても逃避にはなりません。

 問題は、それとは別の「準備のふりをした逃避」が紛れ込むことです。

 先の例が「元の情報に当たる準備」だとすると、逃避になるのは、「周辺情報を回遊する準備」だ。例えば、まとめサイトを巡回する、SNSで識者の意見を拾い集める、「もう1件だけ」と検索を続ける。

 この種の調査は、ある地点を超えると安心材料を集めているだけになります。

 私がプレゼン資料で1日中タブを開き続けていたのは、まさにこっちでした。

 見分ける問いはひとつ。「今読んでいるものは、元の情報か、誰かの解釈か」。

 元の情報(公式の資料、当事者の発言、元のデータ、その分野で定評のある本)を読んでいるなら、必要な準備です。時間をかけていい。

 誰かの解釈(まとめ記事、感想、二次的な紹介)を回避しているなら、立ち止まって「この方向で進む」と言えるか確認してほしい。言えるなら、もう十分です。

 準備の目的は知識を完璧にすることじゃない。「この方向で動き始められる」と判断できる最低限の土台を作ることです。土台ができたら、あとは動きながら学ぶ方が早い。