iPhone・iPadの爆発的ヒットに沸く中国において、熱狂はついに暴動へと発展した。2010年に中国本土でアップルストアがグランドオープンして以来、各地でアップル製品への熱狂が巻き起こった。ときには警察当局による凄惨な暴力鎮圧劇へと発展することもあった。新刊『アップル自壊』より、目撃者が「まるでミニ天安門事件だった」と語った暴動を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
「遺体袋に入ることになるぞ」
2010年9月、中国本土の三里屯(サンリトン)でアップルストアがグランドオープンして以来、中国各地でアップル製品に対する熱狂が巻き起こりました。
上海のアップルストアでは、熱狂のあまり警察当局が鎮圧に出向く凄惨な事態が繰り広げられたと、新刊『アップル自壊』は伝えます。
上海の浦東にあるアップルストアは、客が円筒形のガラスの入口から入ってらせん階段を下りていくつくりだ。そのストアで2010年のあるとき、在庫が底をつくと、7000人を超す転売屋の大群集が怒り出した。
バスで運ばれてiPhoneを買いに来た村人たちに対して店員は、「このとおり、もう在庫がない。我々にもどうすることもできないんだ」と訴えた。
そして店を閉めようとすると、村人たちは警備員が扉を閉めるのを物理的に妨害した。一部が暴れ出し、1人が店員に椅子を投げつけ、何人かが殺すぞと脅してきた。
――『アップル自壊』より
バスで運ばれてiPhoneを買いに来た村人たちに対して店員は、「このとおり、もう在庫がない。我々にもどうすることもできないんだ」と訴えた。
そして店を閉めようとすると、村人たちは警備員が扉を閉めるのを物理的に妨害した。一部が暴れ出し、1人が店員に椅子を投げつけ、何人かが殺すぞと脅してきた。
――『アップル自壊』より
その場には警備員が数百人雇われていたそうですが、彼らを帰らせることはできなかったようです。それにはある事情がありました。
村人たちが意固地になるのも当然だった。彼らに金を払う黄牛(組織的転売屋のこと)の中に、暴力的な犯罪組織とつながっている連中が混じっていて、村人たちは警察よりもそうしたボスから報復を受けることのほうをはるかに恐れていたのだ。
――『アップル自壊』より
――『アップル自壊』より
その後、事態は思いもよらない方向に転がります。
事態が悪化した末の午後11時過ぎ、北京の中央当局が警察の精鋭特殊部隊を招集した。その場に居合わせた人によれば、黒ずくめで無表情の隊員100人は中国共産党幹部の警備を担当する者たちだった。
(中略)
この精鋭部隊はアップルストアのマネージャーに、監視カメラのスイッチを切って店員を隔離し、一帯を封鎖するよう命じた。村人たちには、「自発的にこの場を離れないと遺体袋に入ることになるぞ」と脅した。
群衆が1500人を下回ったところで、1人の若い女性の村人がスマートフォンを取り出して写真を1枚撮った。すると精鋭部隊の1人が彼女を床に押さえつけて頭をつかみ、ジーニアスバーの裏へ引きずっていった。「その女性は叩きのめされた」と、その場に居合わせたある人物は言う。
(中略)
それから45分間にわたり、ほかの村人も1人ずつ殴られていった。タイル張りの床の一部に血痕がくっきりと残り、アップルはタイルを張り替えるほかなかった。
その場にいた従業員は携帯電話の電源を切っていた。このときの記録は残っていない。居合わせたある人物は次のように言う。「中国人がどんなことでもさっさと隠蔽してしまうのがよく分かるよ。まるでミニ天安門事件だったね」
――『アップル自壊』より
(中略)
この精鋭部隊はアップルストアのマネージャーに、監視カメラのスイッチを切って店員を隔離し、一帯を封鎖するよう命じた。村人たちには、「自発的にこの場を離れないと遺体袋に入ることになるぞ」と脅した。
群衆が1500人を下回ったところで、1人の若い女性の村人がスマートフォンを取り出して写真を1枚撮った。すると精鋭部隊の1人が彼女を床に押さえつけて頭をつかみ、ジーニアスバーの裏へ引きずっていった。「その女性は叩きのめされた」と、その場に居合わせたある人物は言う。
(中略)
それから45分間にわたり、ほかの村人も1人ずつ殴られていった。タイル張りの床の一部に血痕がくっきりと残り、アップルはタイルを張り替えるほかなかった。
その場にいた従業員は携帯電話の電源を切っていた。このときの記録は残っていない。居合わせたある人物は次のように言う。「中国人がどんなことでもさっさと隠蔽してしまうのがよく分かるよ。まるでミニ天安門事件だったね」
――『アップル自壊』より
その後、アップルは中国という特殊な市場に振り回されていきます。






