米ドル/円が、一時85円割れとなりました。1月に記録した87円10銭の安値を、11月末になって、ようやく更新したのです。
ところが、円買いも、米ドル売りの要因も、ここへ来て、かなり限界になってきているように思います。その意味では、現在は、円高の「クライマックス」の局面であって、それがどれだけ続くかに注目すべきではないでしょうか?
まずは、簡単な話から。
米ドル/円の今年の高値は101円です。したがって、85円割れとなっても、今年の値幅は、まだ16円にとどまっています。
このコラムでも何度か紹介したことがありますが、米ドル/円の年間値幅の平均は20円程度です。だから、今年はまだ、年間の平均値幅を下回っているのです。
101円を米ドルの高値として、過去の平均並みに値幅が拡大するならば、年末までに、80円前後まで米ドル安・円高が進む余地があるといった計算になります。
それとも、このまま、今年は平均以下の値幅にとどまることになるのか……?
円はすでに「買われ過ぎ」
になっている!
もし、年末までに、80円前後へと円高・米ドル安がさらに進むならば、その原動力は何になるでしょうか?
実を言うと、円買いにその余力があるかと問われれば、微妙です。
ヘッジファンドなどの売買を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、円のロング(買い持ち)は、11月24日現在で5万1000枚まで拡大しています。
これは、年初来の最高の数字です。
円ロングの過去最高は、2008年3月に記録した6万5000枚ですが、経験的には、5~6万枚に達すると、円ロングの拡大が一巡するようです。その意味では、円はすでに、かなりの「買われ過ぎ」になっていると思います。
ちなみに、11月末に、米ドル/円が年初来安値を更新したきっかけは、米国の金融当局であるFRB(連邦準備制度理事会)の米ドル安容認、“超”低金利継続といった思惑に伴う、米国債の金利低下を受けたものでした。
しかし、そのような米ドル全面安がさらに続くかと言えば、ちょっと微妙なようです。
ここで、米国の長期金利について、短期の行き過ぎをチェックする90日移動平均線からのかい離率で見てみましょう。