スマホ主婦をつかむのは
やっぱりクーポン券!?
飲食店や小売店が、ホームページやメールで割引クーポンなどを配り、消費者に来店を促す集客手法がよく見られるようになりました。
凸版印刷が今年5月に発表した調査結果(全国20~40代の主婦5031人対象)によると、主婦のスマートフォン所有率は、1年前の調査より約17%増の48.7%になったそうです。そして、クーポンの情報を見て実際にお店に行くことがあるかという設問には、スマートフォンを所有している主婦の70.4%が「行くことがある」と回答しています。
日本では、この種のアプローチを「O2O」(オ・ツー・オー、Online to Offline)と呼び、オンラインでの情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影響を与えるマーケティング手法の一つとして注目されています(第28回参照)。
ところが、この施策には短期的な集客には効果があることは、さまざまな事例によって実証されているのですが、一方で、「クーポンジャンキー」と呼ばれる、クーポン発行時にしか購買をしない顧客を増やしてしまったり、企業のブランドイメージ劣化を招くなどの問題点も指摘されています。
これまで、わが社もさまざまなO2Oプロモーションを手掛けてきました。が、「無料クーポン」「割引クーポン」に勝る消費者へのインセンティブは今のところ見出せません。しかし、クーポンなしには消費者と真につながりを築けない、というのでは本末転倒です。重要なのは、企業と消費者との間に継続的なエンゲージメント(絆)を構築することです。
そこで私が今注目しているのは、オンラインではなくオフラインを起点としたO2O、つまり、リアルを起点とした「Offline to Online」というアプローチです。
先日、あるファッションブランド企業の方に話を聞く機会がありました。店舗によって差こそあれ、1日に店舗を訪れる顧客のうち実際に購入するのは、せいぜい5~15%程度だそうです。つまり、購入客の顧客データはもちろん把握できますが、購入しなかった残りの85%以上の顧客は、どこの誰かすらわからないのです。