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【近未来の意思決定とIT】
硬直化した50代幹部だけの「経営会議」を
一刻も早く解体せよ!

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第6回】 2013年12月2日
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オープンな意思決定への
パラダイムシフトが起きている

 「予測市場」を経営に取り入れたパイオニア的存在である米国のITエンジニアリング会社「Rite-Solutions社」のCEO、ジム・ラヴォア氏は、「経営者がついていけないほど、テクノロジーや市場が急速に変化している現代、最も鋭い洞察を提供するのは、企業の上層部ではなく、ごく普通の人々だ。だからこそ、われわれは集団の英知を取り入れるための『予測市場』を構築したのだ」と述べている。

 ラヴォア氏が述べるように、ビジネスの変化や技術進展の著しい環境においては、経営者や上級管理者が常に正しい判断を下せるとは限らない。また、綿密な市場調査やビジネス分析によって策定されたビジネスモデルや事業計画であっても、それが何年経っても有効であるという保証はどこにもない。

 しかし、経営者や上級管理者が立案したこれらの戦略は、往々にして彼らの目の黒いうちに本人以外によって変更することは極めて困難なことである。

「会議」の持つ重大な欠陥

 多くの伝統的大企業で大きな意思決定を下す方法として最も多く用いられているのが「会議」という手法である。しかし、会議には重大な欠点が存在する。それは、メンバーの経験や思考が似通っているため、偏った決断を下す確率が非常に高いという点である。

 実際のところ、国内の伝統的大企業における重要な意思決定は、転職経験がなく、大きな失敗を犯すことなく社内の地位を築いてきた50歳代以上の男性を中心としたメンバーで構成される会議で下されている。社内で最もダイバーシティが不足しているのが経営会議ではないだろうか。

 さらに多くの場合、その会議の中で最も発言力のあるメンバーがもっともらしい発言をすると、その真偽が精査されることなく賛成意見の滝(カスケード)を形成する。ユーモア作家のデイヴ・バリーは、「過去にも未来にも、人類が最大限の力を発揮できない要因を一言で表すとすれば、それは『会議』だろう」と述べている。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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