第80回コラム(日本たばこ産業編)で次の〔図表 1〕を掲載したとき、「妙ちくりんなものを掲載しやがって」など、いくつかの批判を頂戴した。

 〔図表 1〕が「妙ちくりんなもの」に見えてしまうのは、例えば『マンキュー経済学Ⅰミクロ編(第2版)』429頁〔図15-4〕で代表される「独占企業の利潤最大化」を学んでいない人が多いからであろう。JT(日本たばこ産業)はもちろん、日本国内では独占企業である。

 ただし、筆者のほうにも反省すべき点はある。経済学の書籍のどれを見ても、上場企業の有価証券報告書などを利用して、消費者余剰や生産者余剰などの「余剰分析」を具体的に展開したものがない。経済学の専門家にできないものを、筆者のような実務家が先走ってしまっては、「妙ちくりんなもの」に見えても仕方がないといえる。