1996年にマイクロソフトのサービスとしてスタートし、2002年に分離独立したエクスペディアは、現在世界31ヵ国、月間9000万ユーザーが利用し、2012年の売り上げは約3兆円に達する世界最大のオンライン旅行会社。日本版のサービスは2006年から開始している。日本と北アジア地域の代表を務める三島健氏に、同社の成長の背景と、海外からみた旅行先としての日本の課題を聞いた。(取材・文/大西洋平、ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)

世界のネットワークを生かし
「海外~海外」の旅程もオンライン予約可能

オリンピックだけの来日では意味がない!<br />海外からの旅行者が何度も来てもらえる工夫を<br />――三島 健・エクスペディア日本法人代表に聞くみしま・けん
ソフトバンクBB、日本SafeNet、eBay日本法人などを経て2011年、エクスペディア・ホールディングス代表取締役兼ゼネラルマネージャーに就任。2012年、韓国、台湾、香港、日本と北アジアで展開するエクスペディアサイトの北アジア代表(ゼネラルマネージャ)に就任。Expedia IncとAirAsiaが共同出資するAAE Travel(本社シンガポール)の日本法人であるAAE Japanの代表取締役も兼務する。 Photo:DOL

――まず、エクスペディアが世界最大のオンライン旅行サイトになりえた理由をお聞かせください。

 現在、エクスペディアは世界31ヵ国でサイトを運営しておりますが、その成功の要因の1つとしては、当マーケットに参入したのがかなり早かったことが挙げられるでしょう。

 エクスペディアは、1996年にマイクロソフトの1部門として設立しました。2002年に同社から離れて米国IAC傘下となり、05年より単独企業として独立してエクスペティアブランドのサービスを世界各地で展開してきました。

 創業から一貫して、世界中の幅広い旅行情報をオンラインで提供してきたことが評価されています。現在、世界3万都市、24万軒以上のホテルを取り扱っており、リアルタイムで空室の検索と即時予約が可能です。航空券については、日本発着便だけでなく、たとえばロンドン-ニューヨーク間といった海外発着便の手配も簡単に行えることも特徴です。

 また、価格でも世界最大規模のスケールメリットを生かし、低価格を打ち出しています。安さには自信があり、国内・海外のホテルで他のサイトがエクスペディアよりも安い料金を提示しているのを見つけた場合、30日以内に申告していただければ、その差額分+次回以降に使用できる5000円クーポンを進呈する「最低価格保証サービス」も実施しています。

 さらに、エクスペディアならではのパッケージツアー「ダイナミックツアー」も特徴の1つです。旅行の日程を入力すると、瞬時に空きのあるツアーのみがリストアップされ、簡単にオンライン予約を行えます。航空券とホテルをそれぞれ単体で手配するよりも格安な料金で旅行を楽しめます。

 そして、パソコンだけでなくスマートフォンなどのモバイル端末で、いつでもどこでもこれらのサービスにアクセスできるのも、エクスペディアの強みです。従来型の旅行会社が立ち上げたサイトではなく、IT系企業の1部門が前身であったこともあり、サイトの使いやすさなどに関しても徹底的にこだわったシステムを構築しています。