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スマートフォンの理想と現実

相性がいいスポーツと通信・放送テクノロジー
W杯や東京五輪を10倍面白くする技術の実現度は?

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第63回】 2014年6月18日
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東京五輪を見据えた
私たちのアイディアが世界を変える

 このように、4年ぶりに当時の提案内容を振り返ってみると、2020年代にようやく実現されると考えられていた最先端のユーザ・エクスペリエンスは、要素技術としてはすでに実現段階に入ったものも多いことに、改めて気がつく。

 招致活動に関わった人間としては、仮に招致が実現していたら、それをドライバーにした研究開発が進み、2020年にギリギリ間に合うというイメージでいた。しかし実際には、一部の技術はそうした予想以上に早く進行している。

 また、新しいトレンドもさらに合流してきた。たとえば今年のモバイル・ワールド・コングレス(MWC)でも、ERP大手のSAPが、サッカーを題材としたIoT(Internet Of Things:モノのインターネット)の活用を視野に入れた、ビッグデータのデモンストレーションを行っていた(記事参照)。モバイルブロードバンドとクラウドコンピューティングの普及がもたらした賜物といえるだろう。

 こうした技術のパラダイムシフトは、スポーツやエンターテインメント分野はもちろん、それ以外の様々な分野にも大きな影響を与えている。実際、SAPのデモンストレーションは、単にスポーツビジネスを対象としたものではなく、その先にある産業全般や社会インフラを強く意識したものである。

 スマートフォンやスマートデバイスの急激な普及と高度化、モバイルブロードバンドとクラウドコンピューティングの進展、パーソナライゼーションの台頭、データの蓄積の拡大、映像技術の総合的な向上――改めて見てみると、この4-5年の間に、技術は急激に進化している。そしてそれらの要素が相乗効果を伴って、私たちの生活空間を大きく変化させている。

 2020年東京にオリンピックを迎える、私たち日本の産業界やユーザーは、こうした技術トレンドを貪欲に取り込んで、世界にアピールしていくことが期待されているのではないだろうか。そのために私たちはどんなアイディアをひねり出せるのか、そんなことを考えながら、ワールドカップで夜更かしを重ねるのも、案外悪くないものだと思う。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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