いよいよ日本時間の6月13日(金)に開幕する2014FIFAワールドカップブラジル大会。大会を前に、様々なメディアで日本代表の戦力分析や結果予想が行われているが、エース・本田圭佑の不調や、先日行われたテストマッチの最終戦・対ザンビア戦で3失点を喫したディフェンス面の不安など、ここに来ても日本代表のコンディションに一抹の不安は残る。2010年のW杯南アフリカ大会で、日本代表監督を務めた岡田武史氏をはじめ、こうした不安の背景に「メンタル面の課題」を挙げる専門家も少なくない。日本代表がメンタルに課題を抱えているとすれば、それは一体どのようなことなのか。サッカーの祭典を前に、我々ビジネスマンの仕事にも通じる「メンタル」の重要性を考えてみたい。(取材・文/有井太郎、協力/プレスラボ)
W杯直前に不安が残る日本代表の戦い
岡田元監督が気づいていた不安の正体
「もちろんW杯での経験値も必要。それ以上に最後はメンタル」
これは、2014FIFAワールドカップブラジル大会の開幕を直前にして、前回の大会で日本代表を率いた岡田武史氏が、とあるサッカー番組で発した言葉だ。
日本時間の6月13日(金)から、いよいよW杯がブラジルで開幕する。5大会連続5度目の本大会出場となる日本代表は、イタリアトップチームのACミランに所属する本田圭佑や、同じくイタリアの強豪インテルで活躍する長友佑都、イングランドの名門マンチェスターユナイテッドに所属する香川真司などを擁し、世界からも注目される存在になりつつある。前回の2010年南アフリカ大会で記録した、ベスト16以上の戦績を残す可能性もあると言えるだろう。
ただしその半面、日本代表のコンディションに関わる課題もいくつか指摘されている。“エース”本田圭佑の不調や、6月6日(金)に行われたテストマッチの最終戦・対ザンビア戦で3失点を喫したディフェンス面の不安(結果は4-3で日本の勝利)などがそれだ。決して順風満帆とは言えない面もある。
サッカー日本代表の戦いには、なぜ不安が残るのか。いくつかの不安材料がある中で、その最大の課題に「メンタル」を挙げたのが、日本代表監督を二度務めた前述の岡田武史氏なのである。前回大会で日本をベスト16に導いた立役者であり、また何より、彼自身がメンタルの重要性を深く追い求めてきた人物であるため、その言葉には重みがある。
岡田氏は前回の代表監督期間中、メンタル面の課題を強く感じ、専門家への助言を求めたという。その相手は、福島大学人間発達文化学類教授の白石豊氏。1996年アトランタオリンピックの女子バスケットボール代表や、2000年シドニーオリンピックの新体操日本代表など、数々のトップスポーツ選手にメンタルトレーニングの指導を行ってきた第一人者だ。
岡田氏が監督に就任した2007年12月以降、彼は再三にわたり白石氏とメンタル面の強化について対談した。それらのやり取りは、2人の共著『日本人を強くする』(講談社)の中で事細かに記録されている。