「新入社員は丁寧に教えてもらえる事が当たり前」

 そう思っていたAさんにとって、この忙しい日々はせっかく勝ち取った正社員という雇用を捨ててでも逃げたい現実に変わっていきました。

「公務員になろうと思っています。前に少しだけ目指そうと思っていた事もありますし、今みたいに残業もなく、ガツガツと利益を追求しなくてもいいと思うので」

 Aさんの心は完全に今の仕事から離れていました。

 ただし、目指すとしても公務員試験の経験はなく、試験勉強からやり直さなくてはいけません。

「確かに今からやると大変だと思いますが、専門学校に通って2年くらいかければ受かると思います。もう民間企業には未練はないので」

 Aさんはこうして公務員試験に臨んでいきました。しかし結局、Aさんは筆記試験に合格したものの、その後の面接で不合格となり、今も公務員を目指しています。

 ちなみにAさんや他の公務員希望者に限らず、社会人になってからすぐに専門学校に通う方の場合、私が見てきた限りでは、その家族がほぼ100%学費を払っているのが実情です。

筆記よりも面接よりも先にあるもの

 公務員の専門学校に通うという選択肢は、出題範囲の多い公務員試験としては有力な選択肢なのかも知れません。

 もちろん、広大な範囲を専門学校だけで賄う事は難しいと思いますので、自習も多くなるでしょう。

 試験をせずに通過する事はできませんので、自身で計画を立てて時間を作り学校以外の時間も「残業」をして過去問題に取り組まなければいけません。

 倍率の高い中での競争です。ガツガツと知識を詰め込んでいかなればならないでしょう。

 試験と論文に加えて、面接が行われます。企業での雇用を捨ててまで公務員になりたい理由はなんでしょうか。そして、本当に考えていただきたいのは、公務員試験よりも先の事です。

 なぜ公務員になりたいか、よりも公務員になって何をしたいのかを考えていただきたいのです。公務員になりたい出発点が環境面の話でも福利厚生でも構いません。ただ、公務員になった後にどうしていきたいのかを考えていかないと、結局は早期退職をしてしまう事にもなりかねません。