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見えてきた!電子図書館と出版社のWin-Winな関係
米OverDrive社とタッグを組んだ
電子取次メディアドゥの挑戦

待兼 音二郎
2015年1月7日
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 スマホが生活必需品となった現代人に、いかにして本の魅力を伝えるか?同社が着目した手段のひとつが、図書館という“出会いの場”を活用することだ。その判断には根拠がある。2010年、全国の図書館の個人貸出冊数が、書籍販売部数を初めて上回ったのだ(「出版状況クロニクル」調べ)。

 書店やネットで売れるよりも多くの本が、図書館で貸し出される時代が来たということだ。今も、このトレンドは変わらないばかりか、ますます差が開いてきている。

 読書人口は先細りしている印象があるが、実はその多くが利用の場所を図書館に切り替えていたのだ。図書館利用者に電子書籍を読んでもらい、そのよさを分かってもらえれば、電子書籍の普及にも自ずと弾みがつく。

 それは、米OverDrive社の10年におよぶ経験から、明らかになったことだった。「一度体験してもらえば、電子書籍の便利さが実感できます。深夜3時にベッドルームから本が借りられ、期限が来れば自動的に消滅するのですから」。OverDrive社アジア統括責任者のピーター・ハース氏は、こう語る。

 2004年、同社システム導入第一号となったオハイオ州の公共図書館では、「ロビーに大きなタッチスクリーンの端末を置くことにしました。どんな電子書籍があるのかをその場で探せ、貸出手続きもしてユーザー端末にダウンロードできる環境を整えたのです」(ハース氏)。

 電子書籍の“露出度”だけでなく、細かな使い勝手を高める工夫も惜しまなかった。電子書籍への貸出待ちが2人以上になると自動的にそのタイトルを追加購入するなどして、ストレスなく利用できる環境を整えたのだ。

 そうした努力の甲斐あって、従来図書館に来る習慣のなかった層まで新たな利用客として取り込むことができた。たとえばニューヨーク市図書館には50の分館があるが、OverDrive社システムによる電子図書館は、貸出部数でそのトップの座にあるのだ。

 アメリカでも街の書店はどんどんなくなっている。けれども本のショールームとしての役割は図書館に受け継がれていることがOverDrive社の経験から明らかになった。さらにそればかりか、書籍売上にも電子図書館が貢献するという意外な事実もわかってきたのだ。

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