JAL3年で復活の背景にあった
「フィロソフィ」の存在

 ここに一つ、「大義」の重要性について考えさせられる事例がある。JALが経営危機に陥った際に京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が行った「稲盛改革」である。

 そもそも企業が「自分たちは何を為すべき存在なのか」といった存在意義について考えるのは、大抵は何らかの危機に陥ったときだ。経営危機に陥る=「自分たちが社会から『なくてもいい企業だ』と思われている!」と感じ、初めて存在意義を問い直すのだ。

 ある程度の年齢になった人間が大義を重んじるのも同様で、緩やかにだが「老い」を感じ、自分の存在意義について考えるようになるのだろう。そういえば、東日本大震災の後に転職した人や、結婚した人が大勢いたと聞く。生命の危機をおぼろげながら感じたとことから、人生に意味を求めたのではないだろうか。

 それはさておき、JALの再建に際し、稲盛氏は事業のテコ入れより先に「フィロソフィ」と呼ばれる企業理念の再定義を行うように指導した。これは、自分たちは「何のために存在するのか」という企業の根幹の再構築である。そして、フィロソフィを社員全員に認知させてから、路線の見直しや徹底的なコストダウン、機種の削減などの実質的な事業の改革に進んだ。

 結果はご存じのとおりで、社員全員の意思統一が奏功し改革は成功。JALは倒産から3年以内という過去最速のスピードで再上場を果たした。企業の再生においては、事業だけでなく、大義と事業の両方が機能することが必要だということを教えてくれる。