圧倒的な安定感!
”三輪”バイクも登場

 このジャンルにヤマハ発動機が2014年9月に投入したのが「Tricity」だ。前二輪が普通のバイク同様に傾くために旋回安定性がきわめて高く、またバイクの弱点である極低速でのふらつきも最小限で済む。停止時に自立はしないが、三輪ゆえの旋回制動性能の高さで人気を集めている(ちなみにこちらも、当サイトに試乗記事があります)。

「Tricity」は全長1905mm×全幅735mm×全高1215mm。税抜き33万円からという手の届く価格を実現したことでも評価が高い  写真提供:村上勇氏

 走行や駐車でのバイクの強みをほとんど損なわず、バランス面での弱点は大幅に改善した。それが、三輪ならではのメリットというわけだ。

 配達スクーターのような屋根をつけることで風雨をしのげるようにした車種もある。伊アディバ社の「AD tre」は、排気量200ccからと一つ上のクラスにはなるが、ヤマハ「Tricity」と同じく前二輪が傾いて旋回するし、ウィンドスクリーンがハンドル先端まであるので風の巻き込みも非常に少ない。

「個人的見解ですが、乗り味はバイクでも、安全性の点から言えば二輪の比ではないので、普通免許の人に乗らせても良いのではないでしょうか。スーツで乗れる全天候型バイクとしてはお勧めの1台になりそうです。ただし、ヘルメットは被ってほしいですね、バイクですから」

 東京都江東区砂町で「ムラカミモーターサイクルズ」を経営する村上勇氏は、試乗の感想をそう語る。

写真右が「AD-tre」。左は伊ピアジオ社のMP3 写真提供:村上勇氏

 ヤマハ「Tricity」のような小型二輪車(AT限定)の場合、免許を取るには1週間ほど教習所に通わねばならない。

 しかし三輪タイプは、二輪にはない安定感があるのだから、たとえば「三輪AT限定」という新たな区分を設けて、土日の2日間で免許が取れるなどとすれば、潜在需要を掘り起こす効果は大きいのではないか?

 ただし無闇な規制緩和は危険でもある。じつはこの種の三輪スクーターは、10年9月までは日本でも普通免許で(さらにヘルメットなしでも)運転できた。それゆえ伊ピアジオ社のMP3シリーズがオープンカー代わりとして大きな人気を集めたが、二輪経験のない操縦者による事故が相次いだため、法規制が改められた経緯がある。

 これは欧州など諸外国でも同様で、軒並み二輪免許必須となっている。米カリフォルニア州や香港、ニュージーランドなど自動車免許で運転できる地域もあるが、例外的だ。

 村上氏の先の発言にもあるように、たとえ三輪でもバイクはバイク。転倒や事故の際には生身のライダーが放り出されるのだから、ヘルメットは絶対に必要だ。