「一、一病長寿の信念に徹して摂生を怠らなかった」

 生来、体が弱いことを自覚していた尾崎。糸川氏は英国式の規則正しい生活と合理的な食事、規則的な運動を欠かさなかったと評価している。

「二、医師の言を尊重し、素直によく守った」

 牛乳、卵黄がいいと言われれば毎日、卵を3個、牛乳を2合ずつ欠かさなかった。酒やたばこはよくないと戒められれば、禁酒禁煙を断行したそう。

「三、他の臓器は弱かったが、心臓のみは強かった」

 日頃の合理的な栄養摂取が心臓を強くした、とある。確かに写真からもわかるように尾崎は肥満ではなかった。

「四、強固な意志と毅然たる気概」

 尾崎は清廉潔白で知られ、ほとんどの議員生活を無所属で過ごしている。二つの戦争を挟んだ厳しい政治の世界を尾崎はたくましく生き抜いた。

 尾崎が生涯を通じて求めたのは平和だった。今でも毎年、3月になると米国ワシントンで桜祭りが行われる。この桜は尾崎が東京市長時代、日本から贈ったものだ。国は違えども美しい花をめでる人々の心は変わらない。でも「桜の木の下には死体が埋まっている」という言葉があるように、この美しい平和は犠牲の上に成り立ったことを忘れてはいけないのだ。

※参考文献/『尾崎咢堂全集 第12巻』尾崎行雄著