昨今、日本古来の生活様式が見直されつつあります。自然を感じ、自然を味わう、この昔ながらの知恵を学ぶことで、私たちはより心豊かで、健康に人生を過ごすことができるのです。東洋医学では、太陽や月の動き、四季の流れに合わせて生活するのが最高の健康法だと考えます。この連載では各四季をさらに細かく六つに分けた「二十四節気」を用い、それぞれの時季に何をを心がけ、体調管理をし、どんな食事を摂ったらよいかを、書籍『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える』の内容から抜粋し、具体的に紹介していきます。

二十四節気とは何か

 皆さんは「冬至」「小寒」「大寒」といった言葉を聞かれたことがあるかと思います。これらは二十四節気を示す語句です。二十四節気とは春夏秋冬の四季をさらに細かく六つずつに分けたものです。

 この二十四節気は明治になってから新暦が用いられる以前、旧暦と共に日常生活で使われてきました。旧暦は、太陽・月・地球が一直線に並ぶときを基準とし、その周期29・53日を1ヵ月とします。これを30日と29日の月として交互にすると、1年=12ヵ月は354日前後となります。これでは月がずれてしまうため、33・4ヵ月に1回、閏月を設けることで調整します。

 ここで一つ問題が生じます。旧暦の日付は毎年季節より11日ずつ先に進み、ほぼ3年目に閏月が入るとそこで20日遅くなります。しかし、それでは暦の日付が実際の季節感とずれてしまうわけです。これは、とくに農作業においては致命的な問題となります。

 そこで正しい季節を教える目安になる二十四節気を併せて用いたのです。二十四節気は古代中国で作られたもので、冬至から冬至を24に等分し、一節気の長さを15・22日とするので、毎年季節と一致してずれることはありません。日本では旧暦が1500年もの間使用されていたため、この暦が生活様式に根付いています。そして、この二十四節気を季節の基準とし生活してきたのです。