ユーロ安が止まりません。
ただ、さすがに「スピード違反」に注意すべき状況にはなってきたようです。
短期的な下がり過ぎ警戒域に
入ってきたユーロ
相場は行き過ぎるもので、別の言い方をすれば「間違う」ものです。
そのような相場の行き過ぎについて、平均値や適正水準からのカイ離でチェックする「オーバーシュート・アラート(OSA)」といった考え方を、私はこのコラムでも何度かご紹介してきました(「相場の底や天井がカンタンにわかる吉田恒さんの秘密兵器とは?」を参照)。
このOSAで見ると、最近のユーロ安は「スピード違反」気味になってきたということなのです。
平均値からのカイ離は、相場の行き過ぎを点検する基本的な方法の1つです。このうち、90日移動平均線からのカイ離率がマイナス10%を超えると、経験的には、短期的な下がり過ぎだと言えます。
90日移動平均線は6月7日(月)現在、ユーロ/円は121円、ユーロ/米ドルは1.32ドルにあります。このため、カイ離率マイナス10%は、ユーロ/円が108円程度、ユーロ/米ドルが1.18ドル程度となります。
今週に入ってから、ユーロ/円は110円、ユーロ/米ドルは1.2ドルの大台をそれぞれ大きく割り込んでいますが、この局面で初めて、短期的な下がり過ぎ警戒域に入ってきたことになるわけです。
短期的にも、中長期的にも
下がり過ぎになっている
さて、中長期的な相場の行き過ぎや「間違い」を点検するのは、5年移動平均線からのカイ離率を見るのが便利です。
ユーロ/円の場合は経験的に、これがマイナス20%前後に達すると下がり過ぎと言えます。
ユーロ/円の5年移動平均線は、5月末時点で144円程度にあります。したがって、かい離率マイナス20%は115円になります。
つまり、ユーロ/円は足元で115円を下回る中、短期的にも、中長期的にも下がり過ぎになっているのです。
言い換えると、足元のユーロ安は「スピード違反」要注意といった状況なのです。
悪くはないが「スピード違反」で
売られ過ぎのユーロ
相場の行き過ぎを点検するもう1つの方法として、適正水準からのカイ離という考え方があります。
これについて、私は為替の適正水準の目安である購買力平価(PPP)との関係で考えることを基本にしています。