年明けから世間を騒がせた、女性タレントと若手ミュージシャンとの不倫疑惑騒動。スキャンダラスな報道内容の中には、2人が交わしたとされるLINEの記録が公開されていた。赤裸々なやり取りがスクショ(スクリーンショット)で瞬時に拡散されてしまう現代、芸能人でなくともヒヤッとした経験がある人もいるのではないだろうか。「プライベート情報の流出」は人ごとではない。実際にヒヤッとした経験を持つ人たちの声を紹介すると共に、ソーシャルハッキングの被害に遭わないための心得を考えよう。(取材・文/蒲田和歌、編集協力・プレスラボ)
もしあのメールが流出したら――。
ソーシャルハッキングの恐ろしさ
もし、恋人との甘いメールの内容が世界に向けて公開されてしまったら――。
年明け早々から、そんな不安を覚えた人もいるのではないだろうか。『週刊文春』がスクープした女性タレント・ベッキーさんと人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカリスト・川谷絵音さんとの不倫疑惑は、大きな波紋を広げた。
そもそも男性側が既婚者であることを公表していなかったこと、女性側の「優等生」的なイメージとのギャップ、そして広告クライアントをはじめ仕事上の関係者が被る影響の大きさなどから、報道は衝撃的に受け止められた。そして同時に大きなインパクトとなったのが、2人が交わしていたとされるSNS「LINE」の記録だ。
デートの内容を綴り、「ただただ幸せだった」と告げたり、「おやすみ」とメッセージを交わし合うなど、親密で赤裸々な内容。ホテルのような場所で撮影されたツーショットの「自撮り」画像も、LINEのやり取りに残されていた。
週刊誌に掲載されたLINE画像は男性側の記録であることから、男性の関係者がスクショ(スクリーンショット)を撮り、自分の手元に送るなどの方法で流出させた可能性が高いと考えられている。週刊誌の報道によれば、LINE画像の入手先は「(ミュージシャンの)将来を憂うある音楽関係者」だという。
この芸能人2人の行動の是非はともかく、今回の騒動は情報流出に対する危機管理の必要性が、企業のみならず個人にも迫られつつあるということに対する「警鐘」とも言える事件だった。情報管理に携わる人たちから異口同音に聞かれるのが、「セキュリティ系の問題は、ほぼ人災」ということである。一般人は、情報流出というと高度なスキルを持ったハッカーが行う不正なハッキングをイメージしてしまいがちだが、実際はソーシャルハッキング(ソーシャルエンジニアリング)が圧倒的に多いのだという。
ソーシャルハッキングとは、テクノロジー操作を伴わない手法。たとえば個人の情報からパスワードを類推したり、ロック解除操作を盗み見みしたり、何らかの方法でパスワードを聞き出したり……といったものがそれにあたる。