再稼働した途端にトラブルで停止した高浜原発4号機(奥右)。1、2号機(手前左から)だけでなく、再稼働を目指す他の電力会社に対しても悪影響を及ぼしかねない Photo:毎日新聞社/アフロ

 原子力発電依存の体質があだとなって経営危機に陥っていた関西電力の経営が一転、“ロートル”の予期せぬ働きで急回復する可能性が高まってきた。

 そもそも関電は電力会社の中で最も原発比率が高い。震災後に原発への風当たりが激しくなっても、原発依存度を低くする姿勢を一切見せず、あくまで現在保有する9基の再稼働へ向けて、全経営資源を傾けてきた。

 この原発との心中戦略のおかげで、足元の原発再稼働の流れに乗って、業績回復の期待が高まっている。何とか再稼働にこぎ着けた高浜原子力発電所3、4号機に加えて、大飯原発3、4号機も安全審査の合格が見えつつある。その上、さらに高浜原発1、2号機が、原子力規制委員会の安全審査に事実上合格するという、うれしい誤算が舞い込んできたのだ。

 高浜原発1、2号機は1974、75年に運転を開始した老朽原発で、すでに運転開始から40年を超えている。原発は運転開始から40年経過で原則廃炉というルールがある。実際、同時期に運転を開始した他の電力会社の原発については、すでに廃炉が決定している。

 だが、基準を満たせば20年間の運転延長が1回だけ認められ、合計60年間の運転が可能となる。今回、この基準を満たす初のケースとなる可能性が濃厚なのだ。

 業界内では、今年7月の運転延長判断の期限までに、まさか安全審査に合格し、再稼働へ近づくとはみられていなかった。