とはいえ、現経営陣は文句のない業績を上げている。2015年12月期の売上高は147億円(前年同期比61%増)。営業利益は65億円(同66%)も稼いでいる。買収による影響を除いても、41%の増収という高収益企業だ。

 穐田氏は雇われ社長として、佐野氏を助ける形でクックパッド入りしているが、今や「クックパッドを成長させた男」として社内外からの信頼も厚い。それだけに、創業者の佐野氏が社長交代を提案した背景には、妬む気持ちもあったのかもしれない。

 昨年末以降、佐野氏と経営陣は断続的に話し合いを続け、一旦は和解したかに見えた。しかし、24日の定時株主総会で事態は大きく動く。定時株主総会では佐野氏の提案した取締役案が可決され、その後に開催された取締役会で、穐田社長が解任されたのだ。

 社内関係者によれば、「両者の話し合いで、少なくとも穐田氏は代表として残り、創業者側の佐野氏か岩田氏にも代表権を与える『共同代表』の形で合意していたと聞くが、佐野氏がそれを突然反故にしたので社内に動揺が走った」という。

 穐田氏は解任されたものの、取締役兼執行役として続投する。ただ、与えられた仕事は国内関連会社の管理だけだという。同社を引っ張ってきた社長に対して、これは左遷に等しい、ひどい扱いだ。

佐野氏が主導した社長交代を
株式市場は歓迎していない

 佐野氏は創業者であり、同時にオーナーとして44%の株式を保有する。過半数近い株式を持っており、実際に行使される議決権を考えれば実質的に過半数を押さえる大株主で、株主総会においては強い力を持つ。実際、自分が選んだ取締役を過半数以上送り込んで、社長交代に成功した。

 ところが、株式市場は必ずしもそれを歓迎していない。

 穐田氏の社長解任が発表された翌日の株価は急落。1日で13%も下落した。株式市場関係者は「実績がある穐田氏の退任は、マイナス材料」と見ているからだ。