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ビジネスメールで「了解です」と即レスすること。スピード重視の現代では「仕事が早い」と評価されがちですが、実はこれ、大きな罠です。心理学の研究によれば、このたった一言の返信が、無自覚のうちに重大な認識のズレを生み、あなたの「信頼」を大きく削っている可能性があります。では、「仕事ができる人」はどのような返信をするのでしょうか?(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)
「了解です」の罠
伝わらない本当の理由
「了解です」だけ返して、あとから日時や認識がずれていた――。ビジネスメールでは、そんな行き違いが思っている以上によく起きます。
送り手の側は「これだけ書けば十分伝わるだろう」と感じていても、受け手の頭の中では、別の解釈が静かに進んでいることがあるからです。
しかも厄介なのは、そのズレが起きていても、送り手の側はなかなか気づけないことです。
私たちは、自分の説明力や伝達力を、実際より少し高めに見積もりやすい傾向があります。つまり、メールの行き違いは、相手の読解力だけの問題ではなく、「自分はちゃんと伝えられている」という思い込みからも生まれるのです。
この点をよく示しているのが、Krugerらのメール研究です。彼らは、参加者に10の話題について文を書かせ、皮肉か、まじめかといった“トーン”を相手に伝える課題を行いました。
すると送り手は、平均で97%は相手に正しく伝わると見積もったのに、実際に受け手が正しく読み取れたのは84%でした。しかも論文全体としては、メールでは声や抑揚が使えないぶん、皮肉・まじめさ・怒り・悲しみ・ユーモアのようなニュアンスを、自分が思うほど上手には伝えられていないことが示されています。
問題は、実際以上に“伝わっているはずだ”と過信しやすいことです。だから、メールでは「書いたから伝わった」と考えないほうが安全です。とくに、日程、納期、役割分担、依頼内容のように、ズレると仕事が止まる情報ほど、相手任せにせず自分で明確に言い直したほうがいいのです。






