5月に表面化した東京電力のシステム不具合問題。混乱に巻き込まれた新電力は頭を抱えている状況だが、実は早くも混乱の第2のヤマが危惧され始めている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)

 5月に明らかになった東京電力パワーグリッドのシステム不具合は、いまだに解決に至っておらず、新電力各社は怒り心頭だ。

「東電には何とかしてくれと言っているが、らちが明かない。他の新電力と一緒に声を大きくしていく方法も考えている」

 ある新電力幹部のイライラはピークに達している。

 4月にスタートした電力完全自由化では、新規参入した新電力は東電の電線を使い契約者に電気を届けている。東電は、新電力の契約者が利用した電力量を集計し、それを新電力へ通知。新電力は受け取った使用量データを基に、契約者へ月々の請求書を発行する仕組みになっている。

 つまり、東電のシステムは新たな電力市場の土台ともいうべきものだ。しかし、この土台で不具合が発生。東電は新電力へ使用量データを通知することができず、自動的に、新電力は契約者へ請求ができないという事態となった。

 その件数は徐々に減ってはいるものの、いまだに2万件近い。新電力各社には、トラブル対応のための追加コストや、自社のサービスに対する信用低下が発生し、一部の強硬派は、東電への損害賠償請求も視野に入れるべきだと声を上げている。

 だが、この事態は3月の時点ですでに業界内では危惧されていたことだった。東電が仕切っていたスマートメーターへの切り替え工事の現場が、工事需要の想定以上の増加で回らなくなっていたからだ。今回のシステム不具合は、このスマートメーター設置工事に起因している。

 当時、新電力各社は4月へ向けて広告を大量に打つなど顧客争奪戦を繰り広げていた。その効果もあって、新電力へ切り替える世帯が月を追って増加。スマートメーターへの切り替え工事は、新電力へ切り替える世帯から優先的に行うことになっていたため、工事需要も同様に増加した。

 しかし、いつ、どこで、どのくらいの工事需要が発生するかを正確に予測するのは難しく、一部の現場で工事を担う作業員の不足が発生した。困った東電は、工事手順に慣れていない作業員を急きょ投入することで、工事需要をこなしていく対応を取ったが、これがまずかった。

 スマートメーターの設置完了が、システム上に登録されないミスが多発してしまったのだ。

 スマートメーターは使用量データを通信で東電のシステムへ送る。だが、システムに登録されていないスマートメーターから使用量データが送られてきても、当然、システムはそのデータを受け取って処理することはしない。そのデータはシステム内で滞留し、結果的に、新電力へ使用量データを通知できない事態が発生したのだ。

「イレギュラーの対応を想定し切れていなかった」と東電は今回の非を認めている。

公共性の高い送配電事業を、独占的に行うことを認可されている以上、今回の失態は許されない。右下はスマートメーター Photo by Yasuo Katatae、Takeshi Kojima