来る電力改革に向けてもスマートメーターは肝になる。経産省の動きが鍵となる
Photo by Jun Morikawa

 5月28日。都内の某電力会社の支社に集められた約10人の間に深い沈黙が漂っていた。東京電力が5月1日に決めた次世代電力計「スマートメーター」の通信システムについての説明会。海外メーカーなどからの提案を受け、新たな仕様を採用した東電が、他の電力会社にレクチャーしたのだ。

 一見、ただの電力業界の集まりだが、いつもと様子が違ったのは、東電だけでなく経済産業省の幹部らも出席していたことだった。

「各社とも東電と同様のプロセスを踏んでもらいたい」

 幹部はこの場で、東電が採用した通信仕様の利点を強調し、暗に他電力にも採用を働きかけたという。会合自体は2、3の電力会社が形式的な質問を投げ、終了した。

 経産省の狙いは何なのか。

「経産省のターゲットが関西電力なのは明らかだった。東電の仕様を持って関西に攻め入る気だ」。ある電力会社の関係者は話す。

 東電のスマートメーターはもともと、国際標準とは程遠いガチガチの独自仕様が押し通されようとしていた。財政難にもかかわらず、自前での光ファイバー敷設を計画するなど、極端な高コストが維持されようとしていたのだ。

 しかし、東電のコスト削減を担う国の原子力損害賠償支援機構がこれに気づき、変更を迫ったことで最終的に国際標準に近い新仕様が採用されたという経緯がある。

「その変更前の東電仕様より、ひどく高コストなのが関電仕様だ」と政府関係者は指摘する。

 関電は昨年11月までにスマートメーターを166万台導入し、導入のプロセスは各社に先行している。だが、内実は下請けメーカーの指名入札による調達で、通信方式もコストの高い単一方式のため、初期コストが東電よりも高額になることが判明している。