現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して
脳がみるみる若返る食事法を紹介する

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師が提案する衝撃の最新刊『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介している。
現在、認知症患者数は増加の一途。その発症を避けるには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な食事を提案する。

焼き魚Photo: Adobe Stock

焦げの正体は、体を老化させて
生活習慣病の原因となるAGE

昭和の時代でしょうか。「焦げたものを食べるとがんになる」と盛んに言われていたのを覚えていますか?そんなことはあり得ないという話に落ち着いたようですが、私はあれはある意味真実だと思います。

黒く焦げた部分は糖質とたんぱく質が高温調理によって変質したもので、目に見えるAGE(老化たんぱく)です。AGEは体を老化させ、さまざまな生活習慣病の原因となると考えられています。

直火で調理した焼き魚やバーべキューの黒い焦げのほかにも、フライパンで焼いたり炒めたりした肉や野菜の黒や茶色に変色したところ、トーストの茶色い焼き目もAGEの塊です。トンカツや唐揚げの茶色い衣もAGE。高温の油で揚げたポテトチップス類や揚げ餅、麦茶やほうじ茶からもAGEが検出されています。

生野菜はセーフ!
刺身はレモン果汁をプラス

そこで見直したいのが「ゆでる・煮る・蒸す」調理方法です。AGEは、糖質とたんぱく質が一緒に「高温」調理されることでできます。ところが、水を沸騰させる「ゆでる・煮る・蒸す」という調理なら、どれも最高温度は100度ですみます。最近では肉や魚を60度程度で加熱する「低温調理」という調理法も人気です。この方法ならAGEの発生を防ぐことができます。

つけ加えると、生野菜にはAGEは存在しませんが、肉や魚などの動物性食品は、生のままでもAGEが存在します。つまり刺身はそのままでもAGEがあるのですが、レモン果汁や酢をかけるとAGEの量を減らせることがわかっています。

ちなみに、天ぷらは茶色くなるほど加熱しませんが、油で揚げる調理自体、AGEを増やすうえにトランス脂肪酸を発生させることがわかっています。トランス脂肪酸は「悪玉コレステロールを増やす」「細胞膜を変質させる」「肥満や骨に悪影響を及ぼす」ので、揚げものは避けるのが賢明です。

本原稿は、白澤卓二著『脳の毒を出す食事』からの抜粋です。この本では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった”毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
「焦げた魚を食べるとがんになる」は都市伝説?<br />ゆでる・煮る・蒸す調理法が無難な理由

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。