「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭がいい人と悪い人「学歴に対する考え方」に現れる差Photo: Adobe Stock

 僕はスバルで働きながら2年間、東京理科大学の大学院に通い、MOT(技術経営専攻)を修了しています。日本の大学院は、大学を卒業していなくても入学することができます(※1)。社会人になってから大学院に通ったことについて、同じような境遇の高卒の人、あるいは学歴コンプレックスがあるという人から「転職するとき、学歴があったほうが有利ですか?」と聞かれることがあるので、考えたことを書いておこうと思います。

 まず、先に結論をいうと、日本の転職市場で戦う限り、学歴を更新するメリットはそんなにないと僕は思っています。日本は新卒採用については完全な学歴社会で、いわゆる有名企業には偏差値の高い大学を出ていないと入社できないという現実がありますが、中途採用になった途端、突然実績が重視されるためです。

 ただ、僕はそれでも大学院に行ってよかったなあと思っています。一番よかったのは、僕が何度も本を読んで尊敬していた先生から、直接教えを受けることができたこと。大学を出ていない僕にも論文の書き方などをていねいに指導してくれた先生には、今でも本当に感謝しています。

 何事も自分が学ぶ気さえあれば独学も可能なのだと、手応えをつかむこともできました(ちなみに僕は高校卒業まで東野圭吾の小説1冊くらいしか、読書をしたことがありませんでした。社会人になって大野耐一の『トヨタ生産方式』やテイラーの『科学的管理法』など、仕事に直結するモノづくりの古典を読んだことから読書にハマり、先生の本に出会ったのもそれがきっかけでした)。

「学んでみたいけどお金がない」という人もいると思います。大学院にもし興味があるのなら、政府の支援制度があることはぜひ知っておいてください。僕もまるまる自費で通ったので、この給付金のおかげで、だいぶ助けられました。

 例えば、国内MBAの多くは「専門実践教育訓練給付金(※2)」の対象になっており、2年以上の職歴がある人ならハローワークに申請に行くと費用の70%(最大112万円)が返ってきます。国立大学なら実質40万円程度で大学院へ通うことも可能なのです。

※1 文部科学省 修士課程・博士課程の入学資格について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111316.htm
※2 厚生労働省 教育訓練給付制度HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html

※この記事は『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』からの抜粋です。