阿部賢介
米国、イスラエルによるイラン攻撃は1カ月を経過したが、原油などエネルギー価格の上昇は開戦前からインフレ率が高止まりし、低所得層の生活が圧迫される「アフォーダビリティー危機」にあえいでいる米国経済にもさらなる打撃となり、「スタグフレーション」入りの懸念がにわかに高まる。オイルショックの再来は避けられたとしても、脆弱(ぜいじゃく)性が高まる米国経済がどれほど耐えられるかは不確実だ。

トランプ関税などの影響が懸念される米経済だが、2026年もAIブームや株高で2%程度の実質成長率が見込まれる。だが投資競争加速によるAI企業の収益悪化による株価急落などと、自動車ローンの不透明な取引増、不良債権化による信用不安拡大という二つの大きな下振れリスクに注意が必要だ。

#25
日本など主要国との間で見直し交渉が決着したかに見えたトランプ関税だが、「合意」通りに履行されるか、なお不透明で新たに半導体への100%関税も懸念される。トランプ大統領が他の政策を有利に進める「ディール」手段として関税を過剰に活用し、また政権内に独断を止められる側近がいないなどの事情があり、今後も不確実性の払拭が難しいことを前提にした対応が必要だ。
