世界投資へのパスポート
2016年11月7日公開(2016年11月14日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

トランプの支持率が上がると薬品株と銀行株が上昇!
米大統領選の結果により上がる株と下がる株とは?
フェイスブックとスターバックスの決算内容も解説!

【11月9日、トランプ候補の当選決定後の最新記事はこちら!】
トランプ大統領の誕生で、アメリカ経済はどうなる? 目先の株価急落は、今後の市場の値動きとは無関係。リスクの消えた「薬品・バイオ株」「銀行株」を狙え

大統領選の支持率の変化により
米国株式市場は連日安に!

 先週の米国株式市場は、高い日が一日もありませんでした。S&P500指数にいたっては、36年ぶりの9日連続安です。週間ベースでは、ダウ工業株価平均指数が-1.49%、S&P500指数が-1.93%、ナスダック総合指数が-2.77%でした。

ダウ工業株価平均指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示

大統領選の支持率とセクターごとの
株価の法則性が見えてきた!

 世界中の投資家は、11月8日に控える米大統領選挙戦の行方を固唾を呑んで見守っています。

 このところ、クリントンの支持率が下がると米国株式市場も下がるという連動を見せています。また、クリントンの支持率が下がるとドルも下がる傾向があります。

 一方で、セクターで見れば、次のような相関性を見出すことが出来ます。

■セクターごとの株価と大統領選支持率の関係
 セクター クリントン
の支持率が上昇
トランプ
の支持率が上昇
薬品・バイオ 株価が下がる↓ 株価が上がる↑
銀行 株価が下がる↓ 株価が上がる↑
資本財 株価が上がる↑ 株価が下がる↓

 クリントンは、薬価高騰問題に対し、厳しい態度で臨むことを明らかにしています。だからクリントンが勝ちそうになると、薬品・バイオ株は下がるのです。

 また、クリントンは、銀行に対して厳しい態度で臨むエリザベス・ウォーレン上院議員をブレーンとして抱えています。だから、クリントンが勝ちそうになると銀行株が下がるのです。

 逆に、クリントンは、積極的にインフラストラクチャ投資することを公約しています。だから、クリントンが勝ちそうになると資本財の株が上がるのです。なお、資本財のセクターには、キャタピラー(ティッカーシンボル:CAT)に代表されるような建設機械メーカーやゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)などが含まれています。

 市場参加者が、上記のような図式でマーケットへの影響を理解していることをヒントにして、11月8日に迫った大統領選挙投票日の直前、直後のトレード戦略を組み立ててください。

フェイスブックは業績こそ順調だが、
来年以降の成長には警鐘が

 さて、先週決算を発表した企業の中では、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)が決算発表後に急落したのが目立ちました。

 第3四半期のEPSは予想0.97ドルに対し1.09ドル、売上高は予想69.2億ドルに対し70.1億ドル、売上高成長率は前年比+55.8%でした。これらは、立派な数字です。

 問題は来年以降、「フェイスブックのタイムライン上に表示される広告の表示頻度を抑え気味にしてゆく」と同社が発表した点にあります。あまり広告が多すぎると、うっとうしい印象を与えるのを避けるための措置です。

 しかし、今年の同社の売上高成長のうち、32%は広告表示頻度を増やすことで達成されました。それを抑えるとなると、ユーザー数や滞在時間の伸びはもう鈍化しているので、現在の+55.8%という高い成長率を来年以降も維持することは困難なのです。

 そうした懸念が、フェイスブックの株価に反映されたわけです。

スターバックスは「スターバックスカード」の影響から
来店客数がマイナスに

 もうひとつ先週の決算で注目されたのは、スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)です。

 今回の決算では、EPSが予想55セントに対し56セント、売上高が予想56.9億ドルに対し57.1億ドル、売上高成長率は前年比+16.2%でした。

 注目された既存店売上比較は+4%でした。既存店売上比較の増減がもたらされた原因は、「チケット(1回の購入での支払い代金)」と「トランザクション(来店頻度)」に分解されますが、今期はチケットが+5%、トランザクションが-1%でした。

 トランザクションが落ち込んでいる一因は、「スターバックス・カード」でフリー・ドリンクが貰える条件を、これまでの「10回購入すれば1ドリンク」から「一定の金額に達すれば1ドリンク」に改めたことにあります。

 この改変は、高額なドリンクを買い求める、会社側にとって有利な客を優遇する措置です。これ自体はビジネス戦略としては正しい経営判断です。

 しかし「安いドリンクを買い求めるファンを冷遇している」という批判が出ました。また、「まとめ買い」により、早くフリードリンクに到達することを狙うグループ客も出現しました。

 今回の「スターバックス・カード」の条件変更が既存店売上比較に与えた影響は、トランザクション:-2%、チケット:+2%程度だと思います。そこで既存店売上比較からこの影響分を取り除くと、チケットは+5%ではなく実際は+3%、トランザクションは-1%ではなく実際は+1%だったのではないか、と思われます。

 会社側は、今後の戦略として高級店舗「リザーブ・ロースタリー」を展開することで、スターバックス全体の「プレミアム化」を目指すと宣言しています。

 しかしリーマンショック以降の慢性的な低成長の中で、外食産業はどこも苦しんでいます。その中で「スターバックスだけが高級化路線を目指して、果たして消費者がついてくるのか?」という不安が残ります。

【今週のまとめ】
大統領選を控えて市場が不安定な今の時期に
ポジションを持つなら配当利回りの高い銘柄を

 米国の株式市場は、大統領選挙を前に神経質になっています。市場が波乱含みになったとき投資家が出来る最善の対処法は、キャッシュ比率を引き上げることです。

 もしどうしてもポジションを持ちたいのであれば、下げ相場で下値支えを提供する、配当利回りの高い銘柄にシフトした方が賢明です。

フェイスブックに代表されるネット株は無配のところが多いので、今の相場には向きません。スターバックスも成長株に分類され、配当利回りが低いので「防御力」は弱いです。この2銘柄を買う人は、注意が必要です!

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