【今回のまとめ】
1.先週(4月16日~20日)の米国市場は、ダウやS&P500は高かったがナスダックは安かった
2.時価総額が大きいアップルの動向が指数を左右
3.アップルの決算は、米国時間4月24日(火)引け後発表
4.最近の弱い米国経済指標にFOMCで言及があるかに注目
5.これまでの決算発表は好調な滑り出し
アップルの決算は市場予想を超えられるのか?
先週(4月16日~20日)の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が+1.4%、S&P500指数が+0.6%、ナスダック総合指数が-0.4%でした。
ナスダック総合指数だけがマイナスだった理由は、アップル(ティッカー:AAPL)が弱かったためです。アップルは高値から-11.7%調整したことになります。

ナスダック市場に上場しているアップルの時価総額は5340億ドルで、世界最大です。このため米国の株価指標の中ではナスダック総合指数やS&P500指数に特に影響を与えます。なおアップルはダウ工業株価平均指数には採用されていません。

そのアップルは4月24日(火)引け後に第2四半期(3月期)決算を発表する予定です。市場予想EPS(1株あたり純利益)は10.02ドルです。ただし「ウィスパー」は11.31ドルまで上昇しています。なお「ウィスパー」というのは「ささやき」の意味で、直前の投資家の期待値を示しています。
一方、アップルの売上高に関する市場予想は367億ドルです。また売上高のウィスパーは380億ドルとなっています。
過去の実績ではアップルは88%の確率でEPSが市場予想を上回ってきました。また決算発表をした次の日の平均パフォーマンスは+1.8%でした。
iPhoneの販売台数予想には弱気な見方も
今回の決算発表では、iPhoneの販売台数に関して3250万台あたりを予想するアナリストが多いようです。しかしこれについては「実際はもっと少ないのではないか?」という懸念も表明されています。
先週大手通信会社ベライゾン(ティッカー:VZ)が決算発表した際、ベライゾンにおける第1四半期のiPhoneの販売状況が報告されました。
それによるとベライゾンでは第1四半期に320万台のiPhoneしか売っていなかったのです。このため「予想より販売ペースが鈍い」と指摘するアナリストもいました。過去のベライゾンの市場占有率から逆算すると、アナリスト達が考えているiPhone全体の販売台数に到達できないというわけです。
しかし、いまや米国だけがiPhoneの市場ではありません。海外市場の重要性は急速に増しています。このため、米国国内しかないベライゾンの決算からiPhone全体の売れ行きを占うことには無理があるでしょう。
現行機種の販売台数だけでなく、新機種についても不安材料があります。
「iPhone5」の発売は遅れる?
もう1つの懸念として、新機種である「iPhone5」の発売が遅延するのではないか? ということもささやかれています。
先日、携帯電話向け半導体のデザイン会社、クアルコム(ティッカー:QCOM)が決算発表した際、最新鋭の28nm(ナノメートル)線幅の半導体の量産が遅れているというコメントがありました。
クアルコム社の半導体は、iPhone5が「LTEネットワーク」(編注:第3世代通信の進化型高速移動体通信網、日本では例えばNTTドコモの『Xi』に相当する)へ接続する際必要となる「ベースバンド半導体」に採用が決まっていると噂されています。
もしクアルコムが必要な量のベースバンド半導体を供給できないのであれば、当初6月頃と見られていたiPhone5の発売が延期を強いられるというわけです。
その他、今期のiPadの販売台数に関しては1350万台、Macの販売台数に関しては450万台というのが市場の予想です。
なおこれらは、あくまでも市場関係者の観測に過ぎないことを強調しておきます。
FOMCでバーナンキ議長は何を話す?
今週の相場のもう1つの焦点は、米国時間4月25日(水)に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利発表です。今回は現行の政策金利(0~0.25%)や量的緩和政策に関する変更は一切ないと思われます。
強いて言えば、最近発表された米国の一連の経済指標がいずれも少し弱めですので、それに関して記者会見の中で、ベン・バーナンキFRB議長が何かを言及するかに注目したいです。
ここまでの米国決算は好調だが…
さて、冒頭でアップルの決算発表に関して詳述しましたが、この他にも今週はたくさんの企業が決算を発表します。

なお、今回の決算シーズンはまだ始まったばかりですが、これまでのところ滑り出しは好調です。(下の2つの図は、過去3年間の米国企業の四半期決算EPS、売上高の発表結果が市場予想を上回った比率の推移を表しています。)

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