【今回のまとめ】
1.「財政の崖」とは臨時の不況対策が同時に終了することを指す
2.最悪の場合、米国のGDPはマイナス成長に
3.財政立て直しの議論は金融資産への課税強化を意味するから株式市場にマイナス
4.FRBは、実は緩和の手を休めている
5.選挙後は金融・財政政策がケチになるというジンクス通りの展開
先週(11月12日~16日)の米国株式市場は、「財政の崖」を嫌気して続落しました。ダウ工業株価平均指数は-1.8%、S&P500指数は-1.5%、ナスダック総合指数は-1.8%でした。
「財政の崖」のインパクトでGDPもマイナスに
あらためて確認しておきますと、「財政の崖」とはブッシュ大統領の時代に導入された減税策をはじめとする様々な臨時の不況対策が、今年の年末に終了することを指します。たまたまそれらの終了がこの12月末に集中するため、“崖から落ちるように”景気が悪くなる懸念があるわけです。
ただし、延長がないまますべてのプログラムが終了になれば、2013年だけで総額6700億ドルのインパクトがあります。
このため、現在+2.0%で推移している米国のGDP(国内総生産)が、瞬間的にマイナスになるだろうと言われています。
裕福層の負担強化は株式市場にマイナス
米国政府の財政健全化を進めるには、単に今「財政の崖」で問題になっている臨時措置の延長だけでなく、根本的な税制改革が必要となってきます。
オバマ大統領は「生活が苦しい庶民ではなく、裕福層にもっと負担してもらおう」という考え方を強く打ち出しています。
裕福層は給与所得もさることながら、すでに持っている金融資産の生み出す値上がり益や配当収入なども大きな所得源です。したがって、裕福層への課税強化は株式市場にも直接の影響を及ぼす可能性があるわけです。
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