【今回のまとめ】
1.雇用統計は強かった
2.利上げ観測は早まった
3.6月に利上げをシグナルし、9月に実施か?
4.投資家は慢心し過ぎていた
5.利上げは相場の「終わり」を意味しない
6.アップルがダウ30に採用された
米国株式市場の動き
先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が-1.53%、S&P500指数が-1.57%、ナスダック総合指数が-0.73%下落しました。
下げの主な理由は、金曜日に発表された非農業部門雇用者数の数字が、予想23.5万人に対して、29.5万人と強かったことに因ります。

加えて失業率も予想5.6%に対して5.5%と良い数字でした。

利上げ観測は早まった
その結果、市場参加者は「政策金利の引き上げが、早まるかも……」と考え始めました。
米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートの利上げに対する期待を調べるには、先週の本コラムで紹介したように、シカゴの先物市場で取引されているフェデラルファンズ・フューチャースの価格を見るのが一番良いです。下の表は先物価格から逆算される、それぞれのFOMC開催日ごとの利上げ確率です。
上述した金曜日の雇用統計発表前(3月2日)と後(3月6日)では、かなり変動がありました。

具体的には、3月2日の時点ではフェデラルファンズ・レートが0.50%以上、つまり現行の0~0.25%より利上げされる確率が五分五分以上になるのは9月17日のFOMCだということが織り込まれていました。
しかし金曜日の雇用統計発表後(3月6日)、市場の期待は7月29日のFOMCをXデーとして織り込み始めているのです。
「辛抱強く」の表現に注目
普通、米国連邦準備制度理事会は、いきなり利上げを発表したりしません。ある程度時間の余裕を持って、予め「そろそろやりますから、そのときはヨロシク」とやんわりシグナルするのです。
そのサインの送り方は、具体的には、現在FOMCの声明文の中で使用している、「辛抱強く(patient)」低金利を維持するという単語を削除することによって行います。この「辛抱強く」が削除されると、その2か月後に利上げが実施されます。
さて、先ほどの一覧表を見ると7月29日のFOMCで利上げされる可能性が47.34%と、限りなく五分五分に近づいています。つまりこの辺は、もうどちらに転んでもおかしくないわけです。
いま「辛抱強く」の単語を削除することで2か月前にサインを送るのが丁寧(ていねい)なやり方であり、特にイエレン議長は優等生タイプなので、そういうコトをきちんとやる人なので、サインを出すタイミングは、若し7月29日のFOMCで利上げするなら、6月では遅すぎるわけです。その場合は4月29日のFOMCで「辛抱強く」を削除する必要があります。
記者会見との兼ね合い
この可能性は、十分あると思います。ただ、これにはひとつ問題があります。それは4月のFOMCは記者会見が無いということです。言葉を尽くして、そういう決断に至った背景を、市場参加者に説明する場が無いわけです。
これに対して、たとえば6月17日のミーティングで「辛抱強く」の言葉を削除し、三か月後の9月17日に利上げを実施すれば、両方とも記者会見があります。だから万全を期すという考えなら、こちらの線が浮上してくるわけです。
慢心が見える市場参加者
いずれにせよ株式市場の参加者は、もう「利上げやむなし」という心境になっています。折から、投資家のセンチメントには慢心が見られていました。
下はブルベア指数です。

同指数はいわゆる「逆指標」で、強気が多ければ多いほど、相場は天井圏に近いという風に解釈します。
つまりちょっとした事で相場が売られやすい環境に、既になっていたという風に説明できるのです。
利上げは相場の「終わり」ではない
さて、ここからが大事な点ですが、普通、金融緩和が長く続いた後で、政策金利が引き上げられると、相場はそれに敬意を表する格好で、一旦、ギクシャクします。しかしそれは相場の「終わり」ではないということです。
「もう中央銀行は自転車乗りの練習の際の補助輪を、提供してくれないのだ」ということになると、甘えは許されません。
でも補助輪が外されたからといって、景気がダメになるということではなく、またそこからスイスイと景気は拡大してゆくものなのです。
言い換えれば、これまでは金融相場を買って来たのが、これからは業績相場を買う展開になるということです。
普通、最初の利上げから受けるショックは長続きせず、すぐに買いが戻ってきます。
アップルがダウ工業株価平均指数に採用された
ちょっと別の話題になりますが、先週、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)がダウ工業株価平均指数に採用されるというニュースが出ました。
ダウ工業株価平均指数は1896年にチャールズ・ダウによって考案された、由緒正しい株価指数です。歴史がある指数なので、今でも個人投資家には愛されていますが、機関投資家は、むしろMSCI指数やS&P500指数をベンチマークとして使用するケースが多いです。
これはどうしてかといえば、ダウ工業株価平均指数は採用銘柄数が30しかなく(=同指数が略して「ダウ30」と呼ばれるゆえんです)米国の株式市場全体の動きを捉える指数としては、対象範囲が狭すぎるからです。
その意味では、よくあるような、「指数に組み込まれたのでインデックス・ファンドが買ってくる!」というような買い需要は、発生しません。
それと「ダウ30」は、アメリカの著名企業が、頂上まで上り詰めた究極のゴールというイメージがあります。逆に言えばもう成長の余地が残っていないという風に受け止められることもあるのです。
実際、ハイテク企業がダウ30に仲間入りした後、パフォーマンスが指数に劣後することが知られています。
アップルがこのジンクスを克服できるかどうか注目したいと思います。
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