世界投資へのパスポート
【第363回】 2015年4月19日公開(2015年4月20日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

上海株式市場の規制強化に端を発した
欧州株式市場のミニ・パニック。
やっぱり、売った方がいいの?

1

【今回のまとめ】
1.金曜日の欧米市場はミニ・パニック症状を見せた
2.上海株式市場の規制強化のニュースに動揺
3.中国政府の処方箋は正しい
4.世界株安ならFRBの利上げは見送りされる

金曜日の欧米市場が下落した3つの要因

 金曜日の欧米市場はミニ・パニック症状でした。

 その原因は三つあり、ひとつはこのところ過熱感のあった上海株式市場に関し証券監督当局が規制を強化したということです。

 二番目は、ちょうどそのニュースが出た前後、世界中の機関投資家が利用している情報端末が二時間近くに渡ってダウンしていたということです。世界のプロ投資家から頼りにされている株価端末にログイン出来なくなったということは、想定外の事であり、不安心理が増幅しました。

 三番目はギリシャ債務問題が、ぶり返しているということです。これについては何か新しい、驚くべき展開があったわけではないので、株を売る理由に引っ張り出されただけという気がします。

 結論から言えば、上海株式市場における規制強化は適切な措置であり、仮に上海市場が今後下げた場合でも、冷静に考えれば世界の株式市場や経済には全く影響しません。

 だから我々は慌てて日本株や米国株を売る必要はありません

上海株式市場での規制強化は「バブルの芽」を摘むもの

 上海株式市場はこのところ上げピッチが急でした。

 不動産が一連のバブル抑制政策で儲からなくなったので、投資家の資金が株に流れ込んだのです。そのことは素人投資家が証券会社に押し寄せ、新規口座の開設が過去最高水準近くに達したことからも確認できます。

 欧米のマーケットが機関投資家中心で動いているのに対し、上海株式市場の市場参加者は殆ど個人投資家です。しかも彼らの多くは信用取引で自分の資金力以上の相場を張っています。

 これを不健全と判断した中国の証券監督当局は、中小型株の信用取引の禁止を宣言するとともに空売り対象銘柄数を増やしました。

 中国政府は、バブルが嫌いです。アメリカで2000年代中頃に起こったサブプライム・バブルや、日本の1980年代のバブル相場などを研究し尽くし、バブルを放置することのリスクを良く心得ています。

 だからバブルの芽が出てきたら、早目にそれを摘んでしまうのです。今回の措置もそういう慎重な態度から出てきたものです。

欧米の機関投資過への影響は少ない

 世界の機関投資家のポートフォリオの中に占める中国本土市場の割合は微々たるもので、限りなくゼロに近いと言っても過言ではありません。

 だから今後、仮に上海株式市場が急落する局面があったとしても欧米の機関投資家のダメージは軽微です。

【2017年6月5日更新!】

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