世界投資へのパスポート
【第365回】 2015年5月11日公開(2015年5月12日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

2015年、「セル・イン・メイ(Sell in May)」が
効かない可能性が高い理由とは?
そして、好決算発表の注目銘柄も紹介!

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【今回のまとめ】
1.セル・イン・メイは確かに存在する
2.だが大統領任期三年目は当てはまらない
3.足下の米国経済は弱く、利上げは早くても9月
4.それなら今は利上げを心配せず株を買うことが出来る
5.サイバーアークはサイバー・セキュリティー関連で最も元気のいい銘柄

大統領任期3年目は「セル・イン・メイ」ではない!? 

 投資理論では説明できないけれど、経験則的に起こりやすいマーケットのクセのことをアノマリーと言います。

 そのようなアノマリーのひとつに、5月から9月までの期間は、アメリカの株式市場がもたつくという経験則があります。下はS&P500指数の月次パフォーマンスのグラフです。

 

 5月から9月にかけては、リターンが低いことがわかります。

 このようなマーケットの習性を言い表す米国の相場の格言に「セル・イン・メイ(Sell in May)」があります。つまり「5月に株を売って、バカンスに行け!」というわけです。

 私は基本、相場に効く方法なら、ファンダメンタルズ分析だろうが、チャート分析だろうが、今日、ここで論じているアノマリーだろうが、ガマの油だろうが、およそ利用できるものは何でも利用する主義です。なぜなら、相場というものは安易には儲けさせてくれないので、そこまでなりふり構わず実行して、やっとこさ利益が出る……そういうものだと思うからです。

 だから「セル・イン・メイ」も重視します。

 しかし、今年は大統領任期の三年目にあたり、1930年以降、これまでに通算21回あった大統領任期三年目の相場では、下のチャートのような動き方をすることが知られています。

 このチャートを見ると、たしかに5月には軽い調整が見られるものの、そこが相場の天井ではなく、7月ないしは9月あたりに天井を打っていることが読み取れるのです。

 言い換えれば、大統領任期三年目は「セル・イン・メイ」が7月、ないしは9月までずれ込むということです。

 実際、過去の大統領任期三年目のS&P500指数の動きを辿ると5月に売って正解だったのは21回のうち下の5回だけでした。

 このことから2015年の投資戦略として、「今年は5月が来ても売らず、粘れるだけ粘った方が良い」というのが私の考えなのです。

その戦略にファンダメンタルズ面での裏付けはあるのか?

 さて、過去の実績として大統領任期三年目には「セル・イン・メイ」が働かないことはこれでわかったと思いますが、それでは現在の景気やマーケットの状況に照らして、今年の場合、本当に粘って大丈夫なのか? ということを考えてみます。

 まず連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策ですが、アメリカの政策金利であるフェデラルファンズ・レートの利上げは、早くても9月だと思います。

 そう考える理由は、足下の米国の景気が、慌てて利上げする必要があるほど強くないからです。第1四半期のGDPは、わずか+0.2%でした。

 

 これはカリフォルニアの港湾労働者の長期ストライキで輸入ならびに輸出業務がストップしてしまったことなどが影響しています。下は輸出のチャートです。

 

 季節に合った商品が店先に並ばなかったため、小売店の売上は打撃を受けました。



 4月の既存店売上比較は2009年以来、はじめてマイナスを記録しました。

 既にカリフォルニアの港湾労働者のストライキは解決しているので、このような一時的な景気の落ち込みは、ほどなく回復すると考えるのが順当です。

 ただFRBは米国の景気が本当に力強くリバウンドするのを確かめるまでは下手に動き出さない方が得策だと考えているに違いありません。9月まで利上げは無いと私が考えるのはそのためです。

 このことは、株式市場との絡みでは「鬼の居ぬ間に、いのちの洗濯」をすることが出来ることを意味し、今から少なくとも7月くらいまでは、比較的取り組み易い相場になることが予想されます。

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