【今回のまとめ】
1.連邦公開市場委員会を好感し、米国株は上昇
2.いつもの半分くらいの、ゆっくりとした利上げ
3.米国株はサマー・ラリーへ
4.円高局面が来るので、日本株はお休みに
5.8月以降、相場が荒れるので、その前に一回転取っておく
6.先週IPOしたフィットビットに妙味
連邦公開市場委員会を好感し、米国株式市場は続伸
米国株式市場が堅調です。先週、ダウ工業株価平均指数は+0.63%、S&P500指数は+0.73%、ナスダック総合指数は+1.27%上昇しました。
先週、アメリカのマーケットが高かった理由は、水曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)を市場参加者が好感したからです。
連邦準備制度理事会(FRB)は、いつもの半分くらいの、ゆっくりしたペースで利上げするとシグナルしました。
初回の利上げは、これまでの予想通り9月が濃厚ですが、その後、FOMCが開催される毎に利上げするのではなく、一回利上げしては休み、休んではまた利上げするという、のんびりしたペースになりそうです。
株式市場参加者は「利上げでも景気は低成長」との解釈
アメリカ株の投資家は(これなら利上げが景気を脱線させるリスクは少なそうだ)と解釈しました。
実際、先週のセクター別パフォーマンスを見ると、ヘルスケア、公共株、消費財、サービスなどの株が高く、逆にコングロマリット、素材、金融、工業株などが伸び悩みました。このことからも市場参加者は急激な景気の加速ではなく、これまで同様の低成長が続くと判断していることがわかります。
FX市場参加者の解釈は?
一方、為替市場ではドルが売られました。FXのトレーダー達はFRBの利上げペースが普段の半分程度の傾きになることを余り想定していなかったに違いありません。
今後のドル安で米株は高くなるが、日本株にはマイナス
ドル安になると米国企業の収益見通しは好転します。するとアメリカ株はこのままサマー・ラリーに突入する公算が大きいのです。
一方、ドル安は日本株にとっては嫌な展開です。つまり日本株はしばらくお休みの展開になると予想されます。
これまで通り、9月にいよいよアメリカの政策金利であるフェデラルファンズ・レートが引き上げられるとして、利上げの直前、直後はマーケットがギクシャクするのが常です。だから8月から10月にかけては世界的に取り組みにくい相場になると思います。
まだそれまでには1か月以上の時間があるので、組み易い相場のうちにもう一回転取っておきたい……それが現在の私の考え方です。
先週上場したフィットビットの株価は堅調に推移
さて、問題はどの銘柄でこのサマー・ラリーを取りに行くか? です。 私は先週の本欄で紹介したフィットネス・トラッカーのメーカー、フィットビット(ティッカーシンボル:FIT)に注目しています。
>>先週公開の記事はこちら『今年最もホットなIPO、ウェアラブル市場NO.1のフィットビットに注目!アップルウォッチをも凌ぐその優位性とは?』
先週水曜日に新規株式公開(IPO)の値決めが20ドルで行われ、木曜日からニューヨーク証券取引所でトレードが開始されています。上場初日は30ドル前後を推移し、2日目の金曜日は結局32ドル50セントで引けました。つまり値決め価格から+62.5%ということになります。引け味はしっかりしており、上場後の値動きには安定感があります。
私がこの銘柄を好きな理由は、利益がちゃんと出ている点にあります。去年の完全希釈後一株当たり利益(EPS)は72¢でした。すると去年の実績EPSに基づいて45倍の株価収益率で取引されているわけです。直近の四半期の売上高が前年同期比で+200%の成長を見ていることを考えれば、このPERは決して高くないと思います。
なおフィットビットに対しては懐疑的な投資家も多いです。その理由としてApple Watchの登場で、フィットビットが駆逐される懸念が指摘されています。たしかにApple Watchはフィットビットより多機能です。しかしこの手のデバイスは「あれも、これも」こなせる事よりも、ひとつの目的をしっかりこなせることが大事なのです。
その好例がSONYのウォークマンです。ウォークマンが最初に登場したとき、「テープレコーダーなのになぜスピーカーが付いていないのだ?」という批判の声がありました。だからフィットビットに多機能を望むこと自体、この商品の価値提案を理解していないのです。
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