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山崎元のマネー経済の歩き方

企業年金のたそがれ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第78回】 2009年4月27日
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 年度末、3月31日の株価は、日経平均で8109円だった。前年度比約35%の下落だ。この日の夜、NHKの「ニュースウオッチ9」を見ていたら、株価下落の「影響」として年金運用を挙げ、ある地方の総合型基金の運用担当者に密着取材していた。

 総合型の基金は、複数の企業が利用する年金基金だが、運用が悪化しても加入企業に掛け金の引き上げを認めてもらうのが難しいことが多い。運用の悪化は直接的に基金の存亡にかかわる場合がある。

 取材対象の男性は「官庁出身」で、実際には運用を担当しているにもかかわらず「もともと運用が専門ではない」と紹介された。デスクで株価をチェックする姿からして痛々しい。番組は、彼が東京の年金コンサルティング会社に相談に行く模様を取材する。

 彼の基金は内外の株式の合計が約3分の1程度の資産配分で、相対的にはそう大きなリスクを取っているわけではないが、コンサルタントのアドバイスは、「より低リスクな運用」だった。

 純粋に相場論的には、株価が下がった今こそ株式投資を拡大するというオプションも検討したいところだが、取材対象の基金の場合、追加的なリスクを取る余裕がほとんどないのだろう。

 当たり外れはあるとしても、売り・買い両方向で動くことができてこそ市場への参加は張り合いがある。一方しかできないという状態ではいかにも苦しい。

 このコンサルタントのアドバイスは、相談者の前提条件(たぶん基金の存続を希望)に対しては冷静で適切なのだろうが、思い切っていえば、基金の解散を進言するのが正解ではなかったか。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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