世界投資へのパスポート
【第380回】 2015年8月24日公開(2015年8月29日更新)
バックナンバー

「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

米国の9月利上げの線が消えた!
これから始まる中国経済の鈍化で
金(ゴールド)が再評価される理由とは?

<今回のまとめ>
1.中国経済の減速が世界同時株安の原因
2.中国は低成長時代へ入ってゆく
3.米国の9月利上げの線は消えた
4.米中の政策協調が鮮明になれば、投資家のパニックは収束する
5.(金)ゴールドに妙味がある

世界同時株安の原因は
中国経済の減速への懸念から

 先週の米国市場はダウ工業株価平均指数が-5.79%、S&P500指数が-5.73%、ナスダック総合指数が-6.71%と急落しました。

 急落の引き金になったのは、中国経済の減速です。本連載では7月12日の「世界経済のけん引車である中国経済に変調の兆しで投資戦略を大幅変更。日本株はどうするべきか?」と題した記事で警鐘を鳴らしました。そして次の行動をとることをお勧めしました:

1.株式の比重を下げ、キャッシュを増やす
2.日本株は特にリスクが高いのでアンダーウエイトする
3.アップル、ゼネラル・モーターズ、スターバックスなど中国で人気のブランドを避ける
4.成長株を処分すること

 このシナリオ通り、中国経済は著しく減速しています。下は中国製造業購買担当者指数です。

 8月の速報値は、リーマンショック直後の2009年以来、最も低かったです。

 中国経済は世界のGDP成長の36%を稼ぎ出しています。したがって中国の成長率が下がると、世界全体の成長率も下がらざるを得ないのです。先週の世界同時株安は、こうした景気減速への懸念を反映したものだと言えます。

中国は低成長時代へ。
今後は「ストライキの件数」に着目せよ

 いま中国で起きていることは、第二次世界大戦後「奇跡の復興」を遂げたドイツ経済が、1968年から1971年にかけて経験した変化に酷似しています。

 第二次世界大戦で焦土と化したドイツは、工場を復旧し輸出を再開するだけで、ぐんぐん成長できました。終戦直後の失業率は、復員兵の働き場所が無かったので、14%にも達していました。

 つまり賃金をはずまなくても、必要な労働力は確保出来たということです。実際、ドイツの賃金は、欧州主要国の中で最低で、コスト競争力は最も強かったです。

 それに加えて、ヨーロッパ中の国々が、復興のためにドイツの鋼鉄や工作機械を必要としていました。つまり急成長できる条件が整っていたのです。

 しかし1960年代後半になると状況が変わってきます。それまでの「働けるだけでも、幸せだ」という考え方は消え、「なぜ自分たちは低賃金に甘えなければいけないのか?」という不満が出始めます。労働争議が増加し、ドイツの名目賃金は年率12%程度、ベースアップされます。当時のインフレが6%前後だったことを考えると、実質賃金上昇率は6%ということになります。これは労働コストが急ピッチで上昇していたことを意味します。

 これを受けてドイツの製造業の粗利益率は急激に低下しました。こうして1971年にドイツは実質固定相場を諦め、為替フロート制に移行するわけです。

 1950年から1971年までのドイツの年間平均GDP成長率は5.0%でした。1971年から2000年にかけての年間平均GDP成長率は2.1%に下がります。

 ひるがえって今日の中国を見ると、賃金の上昇で輸出産業の競争力は減退しています。メーカーの粗利益率は漸減傾向にあります。そこへ去年以来のドル高が追い打ちをかけたわけですから、人民元の切り下げは時間の問題だったわけです。

 中国政府は不景気が民心を乱すことを、何にも増して嫌います。その意味では最近のストライキの急増は、中国政府にとって景気のテコ入れは「待ったなし」の最優先課題になったわけです。

 逆の見方をすれば、今後も中国人民銀行がさらに人民元を切り下げてくるかどうかは、このストライキ件数の数字だけを追っていれば大体、見当がつくというわけです。

 このように現在の中国は、1971年に為替フロート制に移行したドイツと同じ境遇に置かれているのです。そのことは、今後、中国のGDP成長が、ちょうどドイツがそうなったように、それまでの半分程度のペースに落ちることを暗示していると思います。

米国の9月の利上げシナリオは消えた。
そろそろ打診買いをすべき局面に

 このように中国経済は今、歴史的な転換点にさしかかっており、世界はこの危なっかしい局面を一致団結することで切り抜ける必要が出てきました。そのことは米国の9月の利上げというシナリオは、もう消えたということです。

 米中が金利政策で協調し合うことで難局を切り抜けるという姿勢が示されれば、世界の投資家のパニックは収まると思います。つまり今はそろそろ打診買いをすべき局面なのです。

 ただ上に述べてきたようにこれまで世界経済を引っ張ってきた中国が構造的な低成長期へ入ってゆくわけですから、これは多方面に影響を及ぼします。だから能天気な強気スタンスは禁物です。慎重に、状況を見極めながらの打診買いに徹するべきです。

 今後、どれだけ中国経済が鈍化するかわかりませんし、上に述べたようにストライキが頻発するようなら人民元はさらに切り下げられると思うので、そのシナリオでは米国の利上げはズルズル先延ばしになります。これはゴールドにとって朗報です。銘柄としてはゴールドコープ(ティッカーシンボル:GG)が最も堅実なバランスシートを誇っています。
 

【2016年11月1日時点】
  ◆【証券会社おすすめ比較】ネット証券3社の米国株式取扱い最新情報
 ~3社とも外国証券取引口座開設と管理料は無料! 1単位から売買可能~
 ◆マネックス証券【証券会社情報⇒マネックス証券の紹介ページ】
取扱銘柄 取引手数料(税抜)
3347銘柄以上
(NYSE・NYSE Arca・NYSE MKT・
NASDAQ上場の約3000銘柄と
米国ETF250銘柄、ADR60銘柄)
1約定あたり約定代金の0.45%
(最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル)

【マネックス証券の米国株式の特長】
【取引時間(日本時間)】
・夏時間……21:00~9:00 冬時間……22:00~10:00 
※夏時間(4月第1日曜日~10月最終日曜日)、冬時間(10月最終日曜日~翌年4月第1日曜日)
【注文受付時間】24時間 
【注文の種類】成行注文、指値注文、逆指値注文、連続注文、OCO注文
【注文有効期限】最長90日先まで指定可能
【決済方法】外国株口座へ入金し円から米ドルへ為替振替後に売買。または証券総合取引口座に保有する米ドル建てMMF・債券投資用の米ドルを外国株取引口座へ資金振替後に売買

【関連記事】
マネックス証券おすすめのポイントはココだ!日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
 ◆SBI証券【証券会社情報⇒SBI証券の紹介ページ】
取扱銘柄 取引手数料(税抜)

1406銘柄以上
(NYSE・NYSE Arca・
NASDAQ上場の約1000銘柄、
米国ETF約240銘柄、ADR約110銘柄)

1約定あたり約定代金の0.45%
(最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル)

【SBI証券の米国株式の特長】
【取引時間(日本時間)】
・夏時間……22:30~5:00  冬時間……23:30~6:00
※夏時間(4月第1日曜日~10月最終日曜日)、冬時間(10月最終日曜日~翌年4月第1日曜日)
【注文受付時間】夏時間……22:30~5:00  冬時間……23:30~6:00
【注文の種類】指値のみ
【注文有効期限】当日中もしくは期間指定(発注日を含む最長7米国営業日まで指定可能)
【決済方法】米ドルによる「外貨決済」又は日本円による「円貨決済」(取引は完全前受金制)

【関連記事】
◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!

◆SBI証券のおすすめポイントはココだ!~IPOの多さ&夜間取引、銀行との連携など独自サービスも充実のネット証券最大手
◆IPOに当選して儲けたいなら「主幹事証券」を狙え!通常の引受証券の50~100倍も割当がある主幹事と主幹事のグループ会社の攻略がIPOで勝つ秘訣!
SBI証券の公式サイトはこちら!
 ◆楽天証券【証券会社情報⇒楽天証券の紹介ページ】
取扱銘柄 取引手数料(税抜)
1309銘柄以上
(NYSE・NYSE Arca・
NASDAQ上場の約930銘柄、
米国ETF約240銘柄、ADR約120銘柄)
1000株まで、25米ドル
※1000株を超えた分は、1株毎に2セント追加

【楽天証券の米国株式の特長】
【取引時間(日本時間)】(月~金)
 ・外貨決済  夏時間……15:00~5:00 冬時間……15:00~6:00
 ・円貨決済  夏時間……17:15~5:00 冬時間……17:00~6:00 
※夏時間(4月第1日曜日~10月最終日曜日)、冬時間(10月最終日曜日~翌年4月第1日曜日)
【注文受付時間】(月~金)
 ・外貨決済  夏時間……15:00~5:00 冬時間……15:00~6:00
 ・円貨決済  夏時間……17:15~5:00 冬時間……17:00~6:00 
【注文の種類】指値および成行注文
【決済方法】円または米ドル。米ドル決済の場合は円から米ドルへ為替振替、または米ドルの振込、米ドルMMFからの購入

【関連記事】
◆楽天証券おすすめのポイントはココだ!~使いやすいトレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!

◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が詳細で見やすい!
楽天証券の公式サイトはこちら!
Special topics pr

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! [クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2016]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2016年版、クレジットカードのおすすめはコレ! その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

17年の日本株講座
株主優待ベスト136
注目ふるさと納税64

1月号11月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!

【266名様に当たる!株主優待品大プレゼント】
特大付録ふるさと納税駆け込み特産品64
2017年儲けるため日本株講座
・発表!高配当株超成長株の本命株ベスト20
・権利確定月別!株主優待ランキング136!
最高16%超優待&配当利回りベスト30
10万円以下も42!少額で買える優待株30
桐谷さんほか優待投資家15の優待満喫生活
少額でも勝てる本格上昇目前3万円株10
・読者の保有投信&ポートフォリオ激辛診断
NISAの枠を使い切るベスト投信22&株12
・トランプでどうなる米国株&買いの8銘柄
・今後3カ月間日本株&為替の透視図
・勝谷誠彦の1000万円株投資日記
AKB48 in NISA株&投信ファイト
・マンガ「恋する株式相場!」
・マンガ・「60~65歳の年金空白期の埋め方」
付録「1万円からできるラップ口座大解剖」

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

おすすめクレジットカード!ANAカードでマイルを貯める裏ワザとは? 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! クレジットカードに関するクチコミ情報大募集中!