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美人のもと

菓子

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第56回】 2010年4月7日
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 お菓子好きは多い。お菓子嫌いを探すことは困難な作業だ。肉や野菜などの食材と違い、人気がなければ世の中から消えていくものがほとんどなので、お菓子はどんどんおいしくなっていく。

 お菓子の話はいつもどこかでされていて、実際に話していると楽しい。おいしいものを探し求めることは人間を幸せにしてくれる。幸せな話をしている時、人は美しい表情になる。つまりお菓子の話は「美人のもと」になりやすい。

 お菓子は肥満の敵であるとか、健康に悪いとか、人気があるのに時々攻撃される。たしかにお菓子ばかり食べ続けていては問題もあるだろう。しかし、「適度」を意識していればいいのではないだろうか。「適度」だ。

 世にあるお菓子を全部食べているのではないかと思える人、スーパーでお菓子売場にいる時間が異常に長い人、お菓子をご飯がわりにしている人はやはり「美人のもと」が減っているように見える。適度を超えるとお菓子は「美人のもと」を減らす。

 それはお菓子にある材料や成分だけの問題ではないように思う。重要なのは硬さではないだろうか。たいていのお菓子は柔らかい。通常の食事と比べて柔らかいものがとても多いように思う。楽な食べ方ができるものが多いのだ。つまり何度も噛んだり、あごをしっかり動かしたりすることが少なくなっていく。

 顔の動きは顔そのものに柔らかさを与えるだろうし、表情も豊かにしてくれるはずだ。表情の豊かさは「美人のもと」になる。顔の柔らかさは硬い食べ物でつくられるのではないだろうか。

 美人は硬いお菓子が好きだ。硬いせんべいをいい音を立てて食べる。硬いスナックを何度も噛んで食べる。一生懸命食べる。その姿は美しくて、かわいい。

 おいしいものは追求したい。しかし、柔らかいものばかりに走らない。しっかり噛んで食べる喜びを意識していたい。

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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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