「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は熟睡に役立つ自力整体を紹介します。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「2つの習慣」

ひどい睡眠障害に悩まされてきたIさんへのアドバイス

私はいつも生徒さんに「自力整体をおこなう時間帯は、夜がおすすめです」とお伝えしています。なぜなら終了後、関節や筋肉がほぐれて心地よい眠気に誘われるから。アクビもたくさん出ます。生徒さんの多くは、自力整体をおこなった夜は熟睡できて、夜中のトイレの回数が減ったり、朝まで一度も目覚めなくなったという声は多いのです。それを実証してくださった印象的な方がいました。

本の執筆時に「自力整体」を体験していただけるモニターを募集した際、ひどい睡眠障害に悩まされていたIさん(女性・40代後半)が参加。更年期がはじまり、不眠のほか、腰痛、頭痛、体重増加に悩まされていました。Iさんはまだお子さんが小さいこともあり、40代後半でこの状態では老後が心配でたまりませんでした。さらに毎晩のように産後からはじまった股関節痛にも悩まされ、ぎっくり腰も頻繁に発症していました。

Iさんにはおもに以下の2つの方法を実践していただきました。

1. 夜に自力整体の骨盤調整で「骨盤まわりをゆるめる」(※ワークは後半で紹介)
2. 就寝時にはなるべく胃を空にして睡眠の質をアップ

1. 夜に自力整体の骨盤調整で「骨盤まわりをゆるめる」
これは、不眠の原因のひとつである交感神経を落ち着かせる目的と、骨盤のゆがみを調整し血流を促進するものです。骨盤まわりがほぐれると体はポカポカになり、朝まで熟睡できて、足腰の痛みもラクになります。

2. 就寝時にはなるべく胃を空にして睡眠の質をアップ
さらに眠りの質を良くするために内臓の休息時間を増やしました。夕食は寝る3時間前に終わらせ、胃をなるべく空っぽにして就寝。朝食は固形物を控えお粥やスープに。昼食や夕食はいつもどおりの内容です。

この2つをおこなうと熟睡のほか代謝力・排泄力もアップして、体は驚くほどラクになります。

朝まで熟睡できるようになり腰痛・股関節痛も緩和

これにより、Iさんは数日後には朝までぐっすり熟睡できるようになり、腰痛・股関節痛・頭痛も気にならなくなっていました。体重も3kg減量、骨盤後傾は正常になり背中もまっすぐに

Iさんには「自力整体で痛みを和らげる方法を知っているから、もう安心です。そして、ノーストレスの眠りは、ほんとうにありがたい!」とおっしゃっていただきました。

このように、自力整体は睡眠障害や体の不調に対して役立ちます。最後に、Iさんも実践した「骨盤まわりをゆるめる」ワークを紹介しましょう。これは書籍『すぐできる自力整体』の「あおむけでおこなう骨盤調整20分コース」の中盤でおこなう動きですが、これだけでも骨盤まわりがほぐれて、熟睡・腰痛・股関節痛の緩和に役立ちます。

ワークは次のとおりです。

骨盤まわりがほぐれて熟睡できる「骨盤まわりをゆるめる」ワーク

画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すぐできる自力整体』より)。

【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「2つの習慣」
【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「2つの習慣」

◎「骨盤まわりをゆるめる」ワーク
※長めのタオルを用意しましょう

【手順1】
◆あおむけになり、左足の裏にタオルを引っ掛け、天井方向へ脚をのばす
◆脚を上げたらタオルは両手でつかむ

※硬い人はひざを曲げてもOK
※ポイント:左脚(お尻ともものあたり)と床の角度は90度が理想。ただし90度を超えないように。引き付けすぎないこと

【手順2】
◆左手でタオルをつかむ、左脚を左外側へゆっくり開く
◆右のお尻が浮かないように、右手で右の骨盤を床方向へ押す
◆右ひざを小刻みにトントンゆする

※硬い人はひざを曲げてもOK
※ポイント1:開いた脚の角度は90度が理想
※ポイント2:左のお尻の筋肉に、ぎゅっと力を入れる

【手順3】
◆その状態で右手を上にあげてバンザイ(脇をのばす)、引き続きひざをトントンゆする

※ポイント:左のお尻の筋肉に、ぎゅっと力を入れる

【手順4】
反対側も同様におこなう

※硬い側は長めにおこなう

※時間に余裕のある時は、書籍『すぐできる自力整体』で紹介している「驚くほどほぐれる4つのコース」(QRコードからスマホで視聴できる動画つき)も熟睡・腰痛・股関節痛の改善に役立ちます。

『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。

【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「2つの習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗