「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は『すぐできる自力整体』から不眠・不調の改善に役立つ自力整体を紹介します。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
目の休息は、最高のメンテナンス
自力整体のレッスン中、生徒さんの寝息が聞こえるのはよくある光景です。これは休息の自律神経「副交換神経」が優位になるから。
「熟睡できて、朝まで一度も目覚めなくなりました!」という声も多くいただきます。
それでもたまに、
「先生、自力整体をやっても、なかなか熟睡できません……」
「よくわからない不調が続いています……」
といった声をいただくことがあります。
そんなときはいつも、
「部屋をうす暗くして、裸眼で過ごしてみませんか?」
とアドバイス。
鍼灸治療をベースにつくられた自力整体では、たくさんの経絡(けいらく)が集まる目の休息は、最高のメンテナンスだと考えています。
夜、照明を落とし、メガネやコンタクトレンズは外します。この「目を休めませる習慣」ひとつで睡眠の質は驚くほど良くなり、不調や疲れもすっきり。
これは日本古来の健康法として昔からあるものでした。
ひと昔前の日本には、生理中や出産直後の女性が過ごす「産屋(うぶや)」といううす暗い部屋があり、そこでしばらく過ごすのです。これも目を休ませるのが目的でした。ぐっすり眠り、体調を回復させる知恵だったのです。
目はたくさんの「経絡」の通り道
東洋医学では「目の疲れ」は経絡の流れを停滞させると考えられています。
なぜなら「目」やその周辺は、多くの経絡の通り道。この流れが停滞すると体中の血流が悪化。冷えやむくみ、不眠など、様々な不調が現れます。
「経絡」は、体中をめぐる川の流れのようなもの。約12本存在します。とくに目頭からはじまる経絡「膀胱経」(※図参照)は骨盤まわりにつながるため、停滞すると冷えやむくみ、腰痛なども出やすくなります。
一日の終わりに「目を休ませる習慣」と、この「膀胱経をほぐすワーク」(※後半で紹介)をぜひとりいれてみてください。
今回は、膀胱経やツボを刺激して不調を回復させる「眼筋ほぐし」のワークを紹介しましょう。熟睡や不調の改善、目の疲れ・かすみ目にもおすすめです。
ワークは次のとおりです。
熟睡や不調改善に役立つ「眼筋ほぐし」のワーク
画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すぐできる自力整体』より)。
◎「眼筋ほぐし」のワーク
【手順1】
◆しばらく遠くを眺める
※遠くを眺めることで眼筋をゆるめる効果があります
【手順2】
◆眼球の上にある頭蓋骨のくぼみ(目頭の少し上)を親指でゆっくり10秒指圧
※両手を組んだら親指をピンと立てて、その指の腹で指圧しましょう
※息をふ~っと吐きながら
【手順3】
◆両耳をやさしく10秒引っ張る
※息をふ~っと吐きながら
【手順4】
◆首の後ろの「※ぼんのくぼ」のツボを、両手中指で息をふ~っと吐きながら、やさしく10秒指圧
※「ぼんのくぼ」のツボはココ:毛の生え際にある少しくぼんだ場所。効能は眼精疲労・頭痛・肩コリなど
※息をふ~っと吐きながら
【手順5】
◆マブタを強く10秒閉じる
※マイボーム腺(図)から油を出してドライアイ改善にも役立ちます
※時間に余裕のある時は、書籍『すぐできる自力整体』で紹介している「驚くほどほぐれる4つのコース」(QRコードからスマホで視聴できる動画つき)も不眠・不調・眼精疲労の改善に役立ちます。
※『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗