![老後「お金に困る人」と「困らない人」の決定的な違い【FPが解説】](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/f/c/650/img_fc4e4ece6eaa6e6ecbf3c433fb8f7a44261545.jpg)
今年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、65歳までの雇用機会の確保が義務化される。定年を延長する会社も多い。ただ、平均寿命も延びているため、そうはいっても定年後の人生は長い。どのように定年後の生活に備えればいいのか。ポイントは、「3つの危機」に備えることだ。(ファイナンシャルプランナー 黒田尚子)
定年後に陥りがちな
3つの「危機(クライシス)」とは?
「定年」とは、年齢で雇用を確保する義務や制度のことで、会社が自由に決められる。改正高年齢者雇用安定法の施行によって、2025年4月から、65歳までの雇用確保が完全に義務化される。これ加え、70歳までの就業機会の確保が努力義務になるなど、60歳以降も高齢者の働く環境は整いつつある。
一方で、60歳以降はガクッと収入が落ちてしまうのが現状だ。まだ働いているからと50代と同じような金銭感覚でいると、定年後の長い人生では、貯蓄はすぐ底を突く。
今回は、定年後に陥りがちな「3つの危機」や、定年前にやっておきたい対策についてお伝えする。
FPとして、さまざまなキャッシュフローを作成しているが、定年後の人生において陥りがちな「危機」として、次の3つがある。
(1)定年退職から年金受給まで(60歳代前半)
(2)配偶者(夫)に先立たれた後(妻は80歳代前後)
(3)予想以上に長生きした場合(妻は80歳代後半以降)
まず(1)については、60歳で定年退職を迎えて退職金を一括で受け取り、継続雇用で65歳まで働いても、原則として年金の支給開始は65歳から。大半の人の年収は減少する。
国税庁の「令和5年分民間給与実態調査」によると、給与所得者の平均年収は、55~59歳が男性712万円、女性330万円となっており、特に男性は全世代のうち最も高い。
それに対し、60~64歳になると、男性573万円、女性278万円と、女性はそれほど変わらないものの、男性は8割ほどに減ってしまう。