フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

日本で1、2を争う売れ行きの軽自動車「スペーシア」の派生モデル「スペーシアギア」。前回、試乗記事を掲載したところ「私も乗っている」「実は僕も」「すごくいいクルマで満足してる」と、担当編集の友人知人3人から連絡をもらってビックリ。「本当に売れてるんだなぁ」と身をもって実感しました。そんなスペーシアギアですが、実はこのクルマ、ある開発者の絶望と苦悩から生まれたものだったのです。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

新しいブーツ&板で、ニセコに行ってきました

 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

 ニセコにスキーに行って来ました。今回はバックカントリーに挑戦です。専用のFATスキーに踵が上がるタイプの専用のビンディング。もちろんブーツも歩きやすく設計された専用モデル。全てお馴染みのHEADで揃えました(編集より:前回買った板とブーツですね!)。

このビンディングが実によくできていて、歩く時は後ろをカチッと横にひねると踵のロックが開放され、流れ止めが上がった状態で固定されるよう設計されているこのビンディングが実によくできていて、歩く時は後ろをカチッと横にひねると踵のロックが開放され、流れ止めが上がった状態で固定されるよう設計されている。さらに坂の斜度に合わせて踵の高さが3段階に調整でき、快適に登れるのです。滑る時は踵の位置を元に戻して踏み込むと、二本のピンがブーツの踵に刺さってロックされる。こうすれば普通のスキーのように滑れるワケです(下の板が開放状態で、上がロック状態) Photo by Ferdinand Yamaguchi

 スキーの滑走面に滑り止めのシールを貼り付け、登攀(とうはん)開始です。リズミカルに歩いて行くと、ハイキング気分でなかなか楽しい。まさかというような急坂も、シールがいい具合に食い付いてサクサク登って行ける。いやはや、専用の道具というのは素晴らしい。

滑走面にシールを貼り付けて、いざ出発 Photo by F.Y.滑走面にシールを貼り付けて、いざ出発 Photo by F.Y.

 アルペンスキーは子どもの頃から慣れ親しんでいるので大得意なのですが、「踵が上がる」という感覚は初めてのこと。方向転換で足を上げようとすると、板がブラブラする。この違和感は大変なものです。慣れるのに少し時間がかかりました。特に頂上に近づき、斜度のきつい斜面での方向転換には難儀しました。

一緒に行った3人は全員アイアンマンでコナのスロットを取る超アスリート一緒に行った3人は全員アイアンマンでコナのスロットを取る超アスリート。いいペースで進みます。前を行くのは後輩の松尾勝己くん。トライアスロンも速いが登るのも速い。もっとペース落とせ! Photo by F.Y.
2時間登って頂上へ2時間登って頂上へ。滑り降りるのは僅か5分ですが、得難い経験でした。ニセコには3月にまた滑りに来よう Photo by F.Y.

 今回宿泊したのは、松尾くんが経営する、センスの塊のような素敵な宿STRADDIE HOUSE niseko village。床も壁も天井も、全てがイケています。ゲレンデからも近く、サウナも完備。また来月も行きますのでよろしくね。

この床の色使いをご覧ください。大工さんと相談しながら、自ら仕上げにも参加したそうです。彼は本当にセンスが良い Photo by F.Y.この床の色使いをご覧ください。大工さんと相談しながら、自ら仕上げにも参加したそうです。彼は本当にセンスが良い Photo by F.Y.

 バスタブも水道の蛇口の海外から取り寄せるこだわりよう。利用者はほとんどがインバウンド客だそうです。しかし、彼らはどうやってここを見付けるのだろう……?

sauna疲れた身体をサウナで癒やし、氷の張った外の水風呂にザブン。この世の天国でありました Photo by F.Y.

 ということで本編へとまいりましょう。スズキの大ヒット作、スペーシアギアの開発者インタビューです。