「定年後にお金が消えていく…」60~80代に訪れる「3つの危機」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

定年後にお金に関しては、陥りがちな「3つの危機」がある。これらのタイミングを認識したうえで、定年後の生活に向けて正しく備えておきたい。定年前に最低限やっておくべき2つのことについてお伝えする。(ファイナンシャルプランナー 黒田尚子)

定年後にお金に困る人が
陥りがちな「3つの危機」

 前編では、定年後のお金に関して陥りがちな「3つの危機」があると述べた。それは次の3つだ。

(1)定年退職から年金受給まで(60歳代前半)
(2)配偶者(夫)に先立たれた後(妻は80歳代前後)
(3)予想以上に長生きした場合(妻は80歳代後半以降)

 定年後にお金に困る人は、これら3つの危機を想定した備えができていない場合がほとんどである。

 とりわけ、(1)の危機については、この段階をいかに乗り越えるかが、後々の生活に多大な影響を及ぼす。

 これについては、「できるだけ長く安定し働き」ながら、収入の範囲内で「家計のスリム化」が実践できれば、ある程度のリカバリーもできるはずだ。定年前の人も、すでに危機に陥ってしまった人も、思い立ったが吉日。まずは家計を見直してみよう。

 さらに、(2)の危機に備えて、夫が亡くなったら妻が受取人となる死亡保険(終身保険など)に加入して、妻の老後資金などに充てるようにしておく。妻の年金は、65歳から受け取らずに「繰り下げ受給」を選択して、妻名義の年金額を増やしておくなどの対策も効果的だろう。

 それだけでなく、「夫婦2人が元気で長生き」すれば危機自体が遠のく。病気予防や健康増進にお金を使うのも実は大切なポイントである。

 問題を放置し、対策を講じないまま危機に直面すると、最終的に行政や福祉サービスを頼らざるを得なくなる。

 次ページでは、「3つの危機」を踏まえて、定年前に最低限やっておくべき「2つのこと」について見ていこう。