新年度が始まり、子どもが幼稚園や小中学校に入学した働き盛りのサラリーマン世帯は多いだろう。今後は、次の「お受験」を目指して、子供の教育におカネや労力を惜しみなく注ぎ込むことになる。そこで気になるのは、最近の「お受験事情」だ。子どもの学力低下が問題視され、不況で潤沢な教育資金も用意できない現在、「学校選び」には以前よりも慎重な分析が必要となっている。「お受験のカリスマ」と呼ばれる和田秀樹氏に、「失敗しない子どもの教育法」を詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

わだ・ひでき/1960年生まれ。大阪府出身。東京大学医学部卒。受験アドバイザー、精神科医、評論家などマルチに活躍。米国カール・メニンガー精神学校、一橋大学特任教授、学校法人成城学園理事などを歴任。現在、緑鐵受験指導ゼミナール代表、国際医療福祉大学臨床心理学専攻教授。受験に関する様々な著書を持ち、テレビ出演も多数。

――新年度が始まり、子どもが幼稚園や小中学校に入学したサラリーマン世帯は多い。次の「お受験」を目指して、子どもの教育に全力を注ぐ彼らが最も気になるのは、最近の「学校選びのトレンド」だ。有名私立幼稚園・小中学校の人気は、さらに盛り上がっているのか?

 10年ほど前の「お受験ブーム」では、まず有名私立大学の附属幼稚園(慶應義塾青山学院立教など)に子どもを入学させることが登竜門となっていた。しかし最近では、附属幼稚園に子どもを入学させても、小学校から別の学校に通わせるパターンも増えている。

 以前は「附属校からエスカレーター式で有名大学に行かせたい」という考え方が主流だったが、一部のセレブ家庭に見られるように、「子どもをあえて厳しい競争環境に置き、一段高い学力を身に付けさせたい」と考える親が多くなったためだ。

 特に、聖心女子学院、白百合学園、フェリス女学院などの「お嬢様学校」が不人気になった。「ブランドよりも学力や知的要素を身に付けさせたい」というニーズが強くなり、一握りの生徒しか上の学校へ進学しなくなった。

 これは、エスカレーター式の教育による「子どもの学力低下」が認識され始めたことと、無関係ではない。

 世界的に見ても、「附属校に入れば、幼稚園や小学校から大学まで楽に進学できる」などという有名大学はどこにもない。ハーバード大学やケンブリッジ大学には、附属の高校さえない。原則として、皆厳しい受験をくぐり抜けて入学する。