サイバーエージェントの藤田晋社長サイバーエージェントの藤田晋社長 Photo:SANKEI

サイバーエージェントを
創業した藤田晋

「たけふ」高校という。福井県中南部に位置する越前市(旧武生市)にある。明治以来の130年弱の伝統を有し、卒業生は4万6000人を超えている。略称は「武高(ぶこう)」だ。

 活躍ぶりが目立つ卒業生では、IT系ベンチャーの創業社長である藤田晋(すすむ、1973年生まれ)が筆頭格だ。武高を経て青山学院大を卒業後、98年にインターネット広告事業のサイバーエージェントを設立、2000年には東証マザーズ市場に上場した。当時26歳で、史上最年少だった。現在、同社は東証プライム上場だ。

 これを足がかりに、動画配信事業のAbemaTVを立ち上げ、さらにプロサッカーチーム・FC町田ゼルビアの運営会社の社長、麻雀のプロスポーツ化を目的としたMリーグ機構の代表理事チェアマン、新興企業の集まりである新経済連盟副代表理事などを務めている。馬主としても知られる。

 藤田は週刊文春で毎週、「リーチ・ツモ・ドラ1」というコラムを連載している。経済界では、通称「ホリエモン」の堀江貴文(福岡県・私立久留米大附設高校卒)らと共に「若手起業家の雄」と見られている。

 時代はさかのぼるが、明治時代に武高の前身である旧制武生中学で学んだ内藤豊次が製薬会社・エーザイの創業者だ。武生中学を中退したものの旧制高校卒業程度の学力を持っていたという。近衛師団の衛生兵を務めた経歴から、41年に日本衛材を設立、55年にはエーザイに社名変更された。

 エーザイは、アルツハイマー病の進行を緩やかにする効果を科学的に証明した初めての薬である「レカネマブ」を開発し、23年12月から国内で発売開始したことで、製薬業界、医療界で注目されている。