ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

全米が注目!
銀行家が資金を提供するジャーナリズム集団
プロパブリカとは何者か

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第94回】 2010年5月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 ジャーナリズムはいかにして生き残るのか。ここ数年、こんな議論が続く間にも、全米の都市で数々の新聞社が消えていった。

 そうした中で、新聞社というビジネス・モデルは成り立たないとしても、これからのジャーナリズムを支えるモデルは、まだ未開拓なのではないかと、さまざまな試みが行われている。殊に、ピカいちのジャーナリストとNPO(非営利財団)という運営方法の組み合わせで注目されているのが、「Propublica(プロパブリカ)」である。

「調査報道」を専門とするニュース配信組織
記事提供はすべて無料

 プロパブリカが設立されたのは、2008年。元ウォールストリート・ジャーナル紙の主幹編集者、ニューヨークタイムズの調査報道チーフ、その他ピューリッツァー賞受賞歴のあるジャーナリストらを集めてスタートした。

 資金を提供したのは、サンドラー財団。銀行業で富を築いたサンドラー夫妻が、正常な社会を機能させるために欠かせない機能であるジャーナリズムを支援しようと、毎年1000万ドルを寄付し続ける。「権力の乱用には耐えられない。腐敗には我慢ができない。パワーのある人間が弱者を食い物にすることがあってはならない」と語るハーバート・サンドラー氏は、妻のマリオンと共にリベラルな思想の持ち主で、数々の活動組織に寄付を行ってきた人物だ。

 プロパブリカが専門とするのは「調査報道」だ。企業の不正を暴き、社会の闇をあぶり出すのに、調査報道は大きな役割を果たしてきた。だが、この調査報道こそ、新聞ビジネスのコストカットの中で、最初に縮小を余儀なくされた部門なのだ。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
IT&ビジネス
関連記事
クチコミ・コメント
facebookもチェック

瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

「ビジネスモデルの破壊者たち」

⇒バックナンバー一覧