元陸上自衛官でエッセイストとして活躍している著者は、あるTV番組に出演することに。しかしリハーサルもなくいきなり始まった収録で、いたたまれない状況に追い込まれ、自己嫌悪に陥ってしまう。ショックを受けたTV出演で著者が気づいた「世の中のセオリー」とは。※本稿は、ぱやぱやくん『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
世の中への失望感を強めた
テレビ番組出演の経験
皆さんは、この世の中を「本当にくだらないな」と思ったことはありますか。
私も、そのような感覚をずっと持っていたのですが、私のその思いをさらに強くさせ、このように本を書くまでに至ったある出来事がありました。まずは、それをここで紹介することから、話を始めていきましょう。
私は、何冊か本を出しています。
そういった縁もあって、「本の紹介をしてもいいよ」と、テレビや新聞、雑誌などのメディアに呼んでもらえることがあります。
多くの方がすでにご存知の通り、メディアの中の人と言ってもピンキリです。
もちろん「誠実に仕事をしているメディアのスタッフ」もあれば「ただ適当に仕事をしているメディアのスタッフ」だってあります。
前者はしっかりと私の本を読み込み、私を著者として大切に扱ってくれます。
しかし、後者のメディアに呼ばれたときは、事情が異なります。
これは、私があるテレビ番組に、著者として出演をしたときの話です。
番組のテーマは「MCが気になっている本の著者を呼んで、その内容を紹介してもらう」
というもので、これに興味を持った私は、出演依頼を引き受けました。
テレビをほとんど見ないにもかかわらず、私が出演しようと思った理由は「呼ばれたから」に過ぎません。それ以外の理由は、特にありませんでした。
なので、MCや出演者のこともほとんど知らない状態でした。正直な話をすると、その番組は一度も見たことがありません。
リハーサルもなく
すぐに撮影が始まり……
迎えた収録当日、指定されたスタジオに向かった私を待ち受けていたのは、マンションのワンルームでした。玄関を開けたら、すぐにスタジオといった具合です。
初めての経験に面食らっていると、リハーサルも何もなく、すぐに撮影が始まりました。
「とにかく収録スタート!」といったあまりに酷な状況でした。
収録が始まると、私の困惑の色はさらに深まっていきました。
なぜなら、会って間もなく、まだしっかりと打ち解けてもいない私に対して、MCの方からの唐突な「いじり」が始まったからです。
しかも、その様子を見た周りのスタッフは「わっははは」と笑っていました。
このいたたまれない状況に、私は収録開始からたった1分も経過していないのに「来なければ良かったな……。こんないじめみたいな笑いの何が楽しいんだろう……」と心の底から思い、怒りすら感じていました。
MCやスタッフの方は、あまりにも私に対して敬意を払っておらず、私は、ただただバカにされていると思ったのです。